*ルークと薬と収穫祭2の続きです。
その日の夜、ピオニー皇帝の提案で収穫祭に習って仮装パーティーが開かれることになった。夜の会食は既にお開きとなり、これからはお待ちかねの収穫祭のはじまりである。各々には皇帝陛下直々に用意した衣装が配られ、皆既にそれに着替えてそれぞれに割り当てられた部屋で待機している。これからその各部屋を、かぼちゃの形をした篭を持ったルークがまわり、各々からお菓子をもらう手はずとなっている。
ちなみに、それぞれの衣装はというと。男性陣は、ルーク=狼男、アッシュ=吸血鬼、ガイ=ミイラ男、ジェイド=悪の譜術使いで、女性陣は、ティア=モンコレレディ、アニス=リトルデビっ子、ナタリア=魔女といった感じだ。一部以前の旅での称号と同じ衣装が混ざっているが、全部再度作り直したものらしい。採寸もしていないのにサイズがぴったりなところは皇帝陛下の執念がなせる技だろうか。
まぁ、それは置いておいて。
今ルークは篭を片手に、謁見の間に続く大廊下のど真ん中で考え込んでいた。彼の髪の色に合わせた朱色のふさふさの付け耳としっぽが、狼というよりは犬の様で、傍から見ればさながら迷子の子犬のようにかわいらしい雰囲気を醸し出している。何を迷っているかと言えば、
「どの部屋から回ろうかな・・・」
ということらしい。
「アッシュとナタリアの部屋はアッシュと昼間喧嘩したばかりだからなんとなく行きにくいし・・・」
と向かって右手の奥に見えるドアを見つめる。
「ティアとアニスの部屋は、きっと二人ともお菓子いっぱいくれるだろうけど、なんか今日のティアは鼻息荒くて雰囲気がちょっと怖かった気がする・・・」
今度は向かって左手奥のドアを見つめた。
「ガイとジェイドと陛下の部屋は・・・。なんかすっごいからかわれそうな悪寒が・・・」
そう言って謁見の間のちょうど下に位置する、正面の皇帝の私室のドアを見やり。
さて、どの部屋に行こうか?
PR
COMMENT