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Twilight

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クリスマスの悪夢・1

※このお話にはいろいろと捏造設定などが含まれています。「なんでもオッケーばっちこーい!」な人は下へお進みください。

 
 
『こんにちは、ルーク。ちょっと面白いものを見つけたので、後で私の研究室に来てください。あ、逃げようとしたらもちろんお・し・お・きですからね♪  by あなたの心の友・ジェイド』
 この不吉な手紙から今回の騒動は始まった。
 
 もうすぐ年末を迎えるこの時期は、クリスマスと年末年始の行事が続けて訪れるため、どこの街でも忙しい。レムの街でもそれは変わりない。ルークも毎晩夜遅くまで、近々保護施設のレプリカ達を招いて行われる、街を上げてのクリスマスパーティーの準備に駆り出されていた。パーティー当日には、パーティーに参加する幼いレプリカ達へささやかなプレゼントを、サンタクロースに扮したルークとトナカイ姿のガイが配る予定である。トナカイのコスチュームを女性陣に笑顔で手渡された時、若干ガイがへこんでいたのはスルーした。そんなこんなでわたわたしている内に会場の飾り付けも終わり、いよいよ明日はクリスマス当日!という日の夕方になって、ジェイドからのその手紙が自室に届いた。
「なんか激しく嫌な予感がするんだけど・・・(汗)」
 はっきり言って、ジェイドからこんな風に「来てくださいね♪」なんて言われて素直に従って良いことが起きた試しがない。しかし、行かなかったら行かなかったで、後で待っているだろうお仕置きも怖すぎる。
「・・・行った方がいいんだよな」
「その方がいいと思いますよ~♪」
「ひっ!!?」
 不意に背後から聞こえてきた声に振り向くと、小包を小脇に抱えたジェイドがにこやかに戸口に立っていた。その隣には苦笑したガイがドアの脇から顔を覗かせている。
「失礼な反応ですね~」
「そりゃぁ、いきなり旦那が背後に現れたら誰でも驚くって・・・」
「ガイ、何か言いましたか?」
「いえ、別に。・・・それより、ルーク。今時間あるか?旦那が何か用があるんだとさ。俺はさっきそこで旦那と会ってそのまま付き添いで付いて来たんだ」
 そう言って声をかけてくるガイに素直に頷いて、2人を部屋に招き入れた。ガイも呼ばれたのなら変なものは出てこないだろうと思っての事だった。が、この判断が甘かったという事を悟るのはもう少し後になっての事だ。
「んで?ジェイド、一体何の用なんだ。わざわざこんな手紙まで出すなんて」
「いや~、もうすぐクリスマスでしょう?ルークも実年齢ではまだ10歳ですし、ここはプレゼントでも差し上げようかと思いまして♪」
 にこやかに笑いながら抱えていた小包をルークに向けて差し出すジェイドに、2人は揃って顔を顰めた。
「・・・うさんくさい」
「・・・怪しいよな」
「2人とも、本気でお仕置きされたいですか?」
 ジェイドの眼鏡がキラリと光った。
「まぁ、それはともかく。別に変なものではありませんので安心してください。ただの本ですよ」
「本?」
 ジェイドに促されるように小包の包装を解くと、中からは確かにジェイドの言う通り古ぼけた1冊の絵本が出てきた。絵本にしては若干厚めのその本の表紙には、色褪せてはいるが、大きな袋を担いだ赤い服に白髭姿のおじいさんが、トナカイの引くソリに乗っている絵が描かれているのが見て取れる。題名はかすれているが読めない程ではない。
「えっと、・・・サソタクロース?」
「サ“ン”タクロースです☆」
 ジェイドが笑顔で訂正した。
「へ~。サンタクロースの絵本か」
 横合いからルークの手元を見ていたガイが、面白そうに声を上げた。
「ええ。明日はルークがパーティーでサンタクロースの役をやるでしょう?ですから、参考になればと思いまして。ちょうどいい物があると言うのでアニスから送ってもらったんですよ」
「たしかに。ルークが屋敷にいたころは、ファブレ公爵の手前こういった行事は大っぴらに出来なかったからな~。旦那もたまにはいい物をくれるんだな。良かったな、ルーク」
「ああ。ガイから話には聞いてたけど、実際どういうものかってのは見たことなかったしな~」
「明日の予習にもなりますから、今のうちにしっかり見ておきなさい」
「うん、そうするよ。ありがとうジェイド」
 満面の笑みで礼を述べると、早速手にした絵本をパラパラと捲りだした。
「えっと、なになに・・・・・・・って何も描いてないじゃ・・・えっ?!」
「ルーク?!」
絵本の1ページ目には何も描かれてはおらず、「ようこそ、サンタクロースの家へ」と一言書かれているだけだった。そして、その文を呼んだ瞬間手にした本から強烈な光が迸り、その光は部屋の中を一瞬で包み込んで、ルークの視界は真っ白に染め上げられた。その白い光の中で、何か強烈な力に体ごと引っ張られるような、浮遊している様な感覚を感じた後、ルークはそのまま意識を失った。
 


 
「・・・おい。お~い!ルーク、大丈夫か?」
ぺしぺしと軽く顔を叩かれる刺激と、体の下に感じる冷たい感触に、ルークの意識はゆっくりと引き戻された。
「う・・・ん・・・・」
「お。ようやっと起きたか?」
 聞きなれたガイの声に目をこすりながら上半身を起こすと、見慣れぬ景色が目に入った。辺りは一面雪に包まれており、遠く暗い夜空の下に黒々とした森が見える。空にはオーロラが奇麗に波打っている。しばらく事態が飲み込めず呆けていると、そこでルークはまた異変に気付いた。
「赤い服・・・?俺こんなの着てたっけ・・・」
 自分を見下ろすと、いつもの白い上着ではなく、温かそうな白いファー付きの赤いコートに、それに合わせたパンツに、温かい毛皮製のグローブとブーツ。頭には白いぼんぼんのついた、やはりファー付きの赤い帽子を被っている。やはりこんな服を自分で着た覚えはなかった。これだけ温かそうな服を着こんでいるのに、先ほど冷たいと感じていたのは、どうやら雪の上に直に寝転がっていたためらしく、体のそこそこに白い雪がついていた。
「おいおい、なんだルーク。まだ寝ぼけてんのか?これから仕事が山ほどあるってのに、しっかりしてくれよ」
そう言われて、横に立ってルークの体に着いた雪を丁寧に払ってくれているガイをふと見上げると、さらにあり得ない事に気がついた。
「ガ、ガイ・・・?」
「ん?どうした、ルーク」
「いや。その格好・・・」
「何だ?別に普通だろ。どっかおかしいか??」
 いや、普通って言うか、なんでガイにそんな立派な角が生えてるんだ?と突っ込みを入れたかったが、ガイはそれを気にしている様子もない。間違っても、幼いころから一緒に育ってきたガイには頭に角なんて生えていなかったと思う。というか、実際生えていたら人間として問題だ。さらに、他をよく見ると。首のチョーカーには大きな金色のベルが付いており、服装もいつものすらっとした体系を強調するものではなく、温かそうな厚手のシャツの上に、もこもことした毛織物製のベストとパンツに、やはりあたたかそうなグローブとブーツを身に付けている。そう、強いて言うならクリスマスパーティーでガイが着ることになった、トナカイの気ぐるみに似ているのだ。
「トナカイのコスプレ?」
「コスプレって・・・。失礼な。俺は列記としたトナカイだ!・・・ルーク、やっぱりさっき転んたところが打ちどころ悪かったんじゃ・・・?」
 そう言って「痛くないか?」と聞きながら頭を丁寧に調べてくれるガイは、いつものガイのままだった。
「う~ん。こぶは無いみたいだな。今日の仕事出れそうか?なんなら俺とミュウでやってくるが」
「仕事って、なんだ?」
「なんだ、って。それはおまえ仕事って言ったら、サンタクロースの仕事に決まってるだろう」
「え。ええええええええええええええええええええ?!」
さも当たり前のように呆れ半分にガイから告げられた事実に、ルークは目を丸くした。その様子を見て、ガイがまた心配しだしたのでその場はなんとか話をそらして。とにかく今は事態の把握をしようと、ガイから自分の家だと説明された、自分の背後にいつの間にか建っていた、妙にメルヘンチックなログハウスの中に連れ立って入っていった。パウダーシュガーの様な雪をかけられたお菓子の家の様な外観に違わず、その内装もメルヘンチックだった。部屋の中はさながらどこかのおもちゃ工場の様で、そこかしこでどういう仕組みかわからない機械が稼働しており、ぽんぽんと魔法の様にありとあらゆる玩具を作り出している。部屋の広さも外観のこじんまりとしたログハウスとは比べ物にならない程広かった。その様子にただただ驚いていると、目の前にこれまた見知った青い毛玉が飛び出してきた。いつもと違うのはやはりその服装だろうか。ガイとおそろいのベルの付いた首輪に、赤い小さなファー付きポンチョを羽織り、頭にはトナカイの角を生やしたミュウが、ルークの目の前に走り寄ってくるとピョンピョンと飛び跳ねた。
「ご主人様!そろそろお仕事の時間ですの。早くしないと明日の朝までに間に合わなくなってしまうですの!」
 そう言いながらミュウは手に持った小さな時計を振り回しながら体全体を使って必死に訴えかけている。その時計を見て、ガイも焦った表情を見せた。
「おーっと。もうこんな時間か。悪いがルーク、説明は道すがらするから今はとにかく付いてきてくれ」
「あ、うん。わかった」
 ガイに言われると断りきれないルークは、そのまま2人に流されるようにおもちゃ工場を後にした。ガイに引きずられるようにして工場から扉を潜って向かった隣室には、気を失う前に絵本で見たような大きなソリが置いてあった。赤い立派なそのソリは、外へと向かう発射台のスロープの上に既に乗せてあり、今にも飛び立てそうだ。ソリの座席の後ろにある大きな荷台には、大きな白い袋がどっさり積まれている。中身は全部玩具の様だ。
「これは、絵本に描いてあったサンタのソリ・・・?」
「絵本?何寝ぼけたこと言ってるんだ、これは本物のサンタのソリだよ。ほら、乗った乗った!」
 強引にソリに乗せられた。ミュウが膝にちょこんと飛び乗ってきたのを確認すると、ガイはソリの前の、恐らくはソリを引かせるためのトナカイをくくりつける位置に立った。
「んじゃ、行くぞ。しっかり掴まってろよ~」
「え?行くってガイ、ソリだけでどうやって・・・・・ってえええええええええっ?!」
 先ほどから驚いてばかりだ。ルークが止める間もなく、ガイがトナカイに付けるためのガードルを自身に装着する。と、途端にガイの体が一瞬溶けた様に見えて、次の瞬間には金色の体毛を持つ大きなトナカイが目の前に現れていたのだ。そのトナカイは、そのままソリを引いてスロープを駆け登り、勢いよく夜空へと飛び出していった。次いでルークとミュウを乗せたソリも引っ張られるかのように宙に舞い上がる。そのままソリは止まることなく宙を滑空し続ける。ソリの背後に見える自分たちが今までいたログハウスは、見る見るうちに豆粒の大きさになり、そして暗い夜空に消えていった。今周囲に見えるのは、青白い月明かりに明々と照らし出された静かなどこまでも続いていそうな雪原と森だけだった。
「さて、んじゃ町に着く前に説明しておくぞ~」
 不意に、前でソリを引っ張って疾走する金色のトナカイが話しかけてきた。その声はやはりガイのもので。信じられないことだが、今はこのトナカイ=ガイという事らしい。
「えっと、ガイ、なんだよな?」
 恐る恐る、確認の意味で尋ねたのだが、ガイをまた心配させてしまったらしい。逆に訝しげに質問を返された。
「どうみたってそうだろう?・・・ルーク、ほんとに大丈夫か?玄関先で足滑らせて派手に転んでたからな。だからあれほど雪の降った後は危ないから走っちゃだめだって何度も何度もブツブツブツ・・・」
「わ、悪かったな!頭打ってちょっと記憶飛んでるだけだよ、心配すんな」
 訂正。やっぱり、どんな姿になってもガイはガイだ。
「そうか~?まぁ、お前がそう言うならいいか。とにかく、だ。これから向かう先で最後のプレゼント配布をしてもらわなきゃならないから、そのつもりでな」
「プレゼントを配るって言っても、どうやって配るんだ?さすがにもう夜遅いし、家の住人なんてもう寝てるんじゃ・・・」
「心配は無用ですの!」
 膝の上で大人しく座っていたミュウが、ぴょこんと跳ねてルークの目の前の手すりの上によじ登った。そこでポンチョの内側を弄ると、中から大量の鍵の束を引きずり出して、ルークの前に翳した。
「この魔法の鍵があれば、鍵がしまっている部屋にでも入れますの!」
「それって不法侵入って言わないか?というか、サンタって煙突から入ってくるもんだってガイから前に聞いた気がしたんだけど・・・」
「細かいこと気にしたら負けですの!煙突のある家なんて最近じゃ少ないんですの。現代のサンタは窓からこっそり侵入が主流ですの~」
「そうなのか?」
「ですの~♪」
 なんというか、サンタクロースのイメージが子供に夢を与えるおじいさんから、ただの空き巣か泥棒の類へと変わってしまったルークだった。

 
 
 
「さぁ、着いたぞ。ここがプレゼントを配る町だ」
 ガイが足を止めると、ソリの眼下には町が広がっていた。街灯の明かりが夜空の下に町をうっすらと浮かび上がらせている。
「えーっと、プレゼントを配るのはこの5人だな。リストにしてあるから、間違えないようにな」
 ガイが咥えていた羊皮紙のリストをルークに渡す。
「リストの内の2人は今同じ場所にいるようだから、実質回るのは4か所だな」
「え~っと、なになに。赤い屋根の邸宅に2人、黒い屋根の可愛らしい家に1人、それに最後が青い屋根の不気味なお屋敷に2人か。・・・って、明らかに最後の1件おかしいだろ」
「文句言っちゃだめですの。これもお仕事ですのご主人様」
「うるせぇぶたざる!」
「みゅ~~~(泣)」
 でこぴんでミュウを黙らせると、リストに目を落としてルークは考え込んだ。明らかに最後の1件だけは行きたくないというか危険な気がするが、どうも行かなくてはならない雰囲気の様だ。
「さて。どこから行くべきか・・・」
 
 

 
・なんか警備が厳しそうだけど「赤い屋根の邸宅」に行ってみるか。
 
・ここは無難に一番普通そうな「黒い屋根の可愛らしい家」で。
 
・嫌な事はさっさと終わらせよう。「青い屋根の不気味なお屋敷」に特攻だ!
 
 
 
 
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