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Twilight

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クリスマスの悪夢・赤い屋根の家

※このお話はクリスマスの悪夢・1にある選択肢を選んだ先のお話しの1つです。間違って来てしまった人は戻るか、記憶から消し去りましょう♪



・なんか警備が厳しそうだけど赤い屋根の邸宅」に行ってみるか。
 
 
 上空から見下ろしても大きいと感じるその邸宅は、やはり地上に降りても立派だった。家の周囲はぐるりと高い塀に囲まれており、あちらこちらに警備兵が立っているのが確認できる。さすがに正面から行くわけにもいかず、こっそりと門番に見つからぬように裏庭の方から侵入したルーク達は、二階にあるターゲットの部屋の窓のベランダの縁にゆっくりとソリを近づけた。音をたてないように慎重にベランダに降り立つと、そっと中の様子を伺ってみる。カーテンの隙間から見えた室内にはターゲットの内の一人が眠っていた。もう一人はどうやら隣室で眠っているらしい。熟睡しているようなので、起こさないようにそっと魔法の鍵で窓を開けると、静かに室内に侵入した。部屋の中には華美過ぎない、けれど上品な調度品が美術品の様に置かれており、部屋の端には天蓋付きの豪奢なベッドがあった。シルクとレースのカーテンで遮られたそのそのベッドの縁まで忍び寄り、顔を覗き込むと。
(って、ナタリアじゃないか?!)
そこに寝ていたのは良く見知った、幼馴染であるナタリアだった。今は日頃の活発さは鳴りを潜め、気持ち良さそうな寝顔を見せている。
(ご主人様、どうしたんですの?)
(いや、なんでもない。それよりミュウ。プレゼントを早く)
(はいですの~)
 起こさないように声を極限まで抑えつつ指示をすると、ミュウが脇に置いてあったあの大きな白い玩具袋の中から可愛らしいラッピングのされた小包を取り出した。
(ナタリアのプレゼントは・・・。『特集・オールドラント七不思議!第7巻(付録・ありじごくにん人形付き)』か・・・。相変わらずこういうの好きなんだな)
(ご主人様、早くしないとナタリアさん起きてしまうですの。ガイさんも外で待ってるですの)
(だな。よし、次行こうぜ!)
 ナタリアが眠る枕元に本の入った小包を置くと、ルークはミュウを連れて隣室への扉を潜った。隣の部屋には、予想通りと言うか、やはりアッシュが眠っていた。ナタリアの部屋とは違い、あまり奇麗な調度品や可愛らしいものなどは置かれておらず、必要最低限の物だけが置かれた、どちらかというと殺風景な印象の部屋だった。アッシュらしいといえばらしいのだが。天蓋ではないものの、一目で上物だとわかるキングサイズのそのベッドに近づくと。
(うわ。アッシュのこんな顔初めて見た!)
 日頃眉間にしわを寄せた不機嫌顔がデフォルトのアッシュではあったが、今は眉間の皺も取れ、穏やかに寝息を立てていた。和解したとは言え、ルークの前では未だにあまり見せたことの無いその表情に新鮮さを覚えた。思わずまじまじと見入ってしまう。
(ご主人様、どうしんたんですの?)
(いや、アッシュのこんな顔あんまり見たことないな~って思ってさ。いっつも眉間に皺寄せて怒ってるイメージしかないし)
(そういえばそうですの~)
(これはひょっとしたらすげぇレアな体験?!今のうちにしっかり拝んでおくか~)
(ですの~♪・・・ってだめですのご主人様。長居は危険ですの!プレゼントを置いて早くガイさんのところに戻るですの~)
(ちぇっ。わ~ってるよ。・・・えっと、アッシュのプレゼントは・・・)
 足元の袋を漁ると、目的の物はすぐに見つかった。それを掴んでゆっくりと引きずり出す。袋の中から現れたのは、アッシュがいつも持ち歩いている物と同じ尺の業物だった。
(アッシュのやつ。サンタに剣を頼んだのかよ・・・。しかも、結構な値打ち物だなこれ)
 ルークの見立て通り、その一振りはなかなかの代物だった。確かに、これほどの逸品ならばルークも欲しいとは思うが。
(子供たちの夢を運ぶサンタに凶器を運ばせるなよ・・・)
(欲しいものは人それぞれですの。仕方がないですの)
(・・・だな。アッシュらしいと言えばらしいかもな。んじゃ、そろそろ撤退するか。行くぞ、ミュウ)
(ハイですの~♪)
 そう言って、来た時と同じく音をたてないように窓辺に近づいた。先に荷物とミュウをソリに移し、ルークもいざソリに移ろうと、窓辺に足をかけた瞬間。
 ビーッ、ビーッ、ビーッ・・・
 屋敷中に響き渡るかと言うほどのけたたましいサイレンが夜の空気を切り裂いた。途端に屋敷中から警備兵たちがわらわらと現れ、辺りは騒然となった。
「えー?!なんでこんな所に防犯センサーなんてあるんだよ!入った時は反応しなかったじゃねーか!!」
焦って半泣きになっているルークを横目に、眼下の様子を見ていたガイがルークを急かすように促した。
「ルーク!急げ!!」
「お、おう!」
「待てっ!そこにいるのは誰だ!!」
 ルークの応答と同時に、室内からもルークを呼びとめる声が響いた。恐る恐る振り向くと、そこには闇の中でも鮮やかに光る緑の双眸がこちらをしっかりと睨んでいた。寝起きでも全く乱れていない紅い髪を後ろに流して、手には先ほどルークがプレゼントとして枕元に置いた剣を片手にしたアッシュは、こちらからその射抜くような視線を外さずじりじりと距離を詰めてくる。寝起きなのでさらに機嫌が悪いのだろうその顔には、くっきりと眉間に皺が刻まれている。
「お前は・・・レプリカか?!」
「あ、あははは。こんばんは~(汗)」
 とりあえずこの場を落ち着かせようとにこやかに挨拶してみた。
「・・・・・」
「・・・・(汗)」
 ルークのにこやかな挨拶攻撃!アッシュの眉間の皺がさらに2本増えた!!・・・どうやら効果は無かったようだ。
「・・・夜遅くに人の家に不法侵入した挙句に、何が『こんばんは』だ!何が目的かは知らんが、大人しく捕まりやがれこの屑がっ!!」
「え!?ちょっと、待っ・・・!!?」
そのまま斬りかかってきたアッシュをすんでのところで避ける。と、今度は背後の隣室に続く扉が開け放たれた。
「何事ですの!?」
 現れたのは、しっかりとその手に弓を携えた、戦闘準備万端なナタリアだった。室内を厳しい目で見渡した後、剣を構えて険しい表情をしているアッシュと、その目の前で大きな白い袋を担いだまま威圧されているルークの存在に気付いた。侵入者だと思ったのが親しい顔見知りであった事に驚いて、ナタリアは思わず構えていた弓を下ろしてしまった。
「まぁ、ルーク。あなたそんな格好で一体何を?」
 こんな状態でも天然思考なナタリアがルークにとってはせめてもの救いだった。
「いや、なんというか、話せば長くなるんだけど・・・」
「何ごちゃごちゃ言ってやがる!」
 事情を説明しようにも、頭に血が上ったアッシュが斬りかかってきてそれを許してはくれず。とにかく逃げようと周囲を見回す。が、目の前の脱出しようとしていたベランダはアッシュによって通り道を塞がれており、ちょうどナタリアと2人で挟み撃ちにされた形だ。大きな荷物を抱えている状態でアッシュを突破できるとも思えない。逃げるならナタリアが今来たドアを潜って、隣室のベランダからしか道はないだろう。迷っている暇もなくアッシュが再度斬りかかって来たため、ルークは意を決してナタリアの懐へ飛び込んだ。驚いたナタリアが弓を番える前に、その肩を押してアッシュに彼女を押し付けるとドアを潜る。背後ではナタリアを抱きとめたアッシュが怒声を発しているが、今は気にしていられない。振り向かずに急いでベランダに出ると、手すりに足をかけて宙に飛びだした。すぐに体は地面に向けて落下し始めるが、先回りをしたガイがソリを真下に待機させてくれていたおかげで、なんとか地面に激突することだけは避けられた。
「ガイ、ナイスキャッチ!」
「馬鹿言ってないで離脱するぞ!このままじゃ串刺しにされちまう。掴まれ!!」
 ガイがソリを急いでベランダから離岸させる。こういう時、持つべきものは理解ある親友だと心底思う。
「ナタリア、奴らの足を止めろ!」
「良く状況が飲み込めませんが、分かりましたわ!」
 ようやっとベランダにたどり着いたアッシュがナタリアに指示を飛ばし、自身も剣を構えなおしていた。走行する間にも、夜空へと逃げようとするソリ目がけて、ナタリアの矢が嵐のように飛んでくる。さらに、先ほどから微動だにしないアッシュから何かぶつぶつと呟いているのも聞こえてきた。辺りの空気がパリパリっと帯電しだす。これは、もしかしなくても雷の譜術・サンダーブレードだろうか?
「さっさと落ちやがれ!サンダァァブレェェェェェドっ!!」
「ひいいいい!やっぱりぃぃぃぃぃいい!?」
 辺りに雷鳴が響き渡り、空から突如降ってきた雷の槍がソリに見事命中した。その衝撃に耐えかねてルークの体はソリから跳ね飛ばされて宙を舞った。全てがスローモーションのように見える世界でゆっくりと落下していきながら、視界は雷の青白い光に遮られて何も見えなくなっていった。ルークの意識はそこで途切れた。
 
 
 
 
 
 
 
 

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