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Twilight

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クリスマスの悪夢・青い屋根の家

※このお話はクリスマスの悪夢・1にある選択肢を選んだ先のお話しの1つです。間違って来てしまった人は戻るか、記憶から消し去りましょう♪

 


 


・嫌な事はさっさと終わらせよう。青い屋根の不気味なお屋敷」に特攻だ!
 
 
 町はずれの森の入口に立つ不気味な洋館。ここがプレゼントを配らなければならないターゲットの内の2人が住んでいる屋敷だそうだ。そうなのだが。幽霊が出るとか、もう長いこと人が住んでいる様子はないのに夜になると窓に人影が見えるとか、夜な夜な不気味な叫び声が聞こえてくるとか。いろんな噂が絶えず、町に住む者でも滅多にここには近寄らないという。
「ほんとにこんなとこに人なんているのか?しかも2人も??」
「・・・そのはずなんだが」
 顔を引き攣らせて尋ねるルークに対して、同じく引きつった表情のガイが答えた。
「ご主人様、僕なんだかこわいですの~」
 ミュウも野生の感で何かを悟ったのか、怖がって屋敷に近づきたがらない。
「行かないとダメ、なんだよな?」
「う~ん。まあ、こうしてリストにもしっかり載ってるしな。誰かがいることは確かだし、行ってみるしかないだろうな」
「分かったよ・・・。ほら、行くぞ、ミュウ!」
 覚悟を決めたのか、大きな声でミュウを呼ぶと、ルークはずかずかとその洋館の敷地へと入って行った。その後ろをミュウと、人型に戻ったガイが続いた。ルーク達があたふたと洋館の裏口を開けて中に侵入するまで、その様子を2階の窓からずっと観察している影があったのだが、その時の彼らは気付く事はなかった。やがて、洋館内に侵入者の姿が消えると、その陰も忽然と窓辺から姿を消したのだった。
 一方、洋館内に侵入したルーク達はというと。今は裏口から渡り廊下を渡って、薄暗い玄関ホールへとたどり着いていた。やはり、無駄に広い屋敷内に人の姿はなく、床にはほこりが積もっており、現在人が住んでいるという痕跡も見当たらなかった。しんと静まり返った夜の冷たい空気が、さらに不安と恐怖を煽る。
「ほ、ほんとにこんなとこに人なんているのかよ、ガイ!?」
「そのはずなんだが・・・(汗)」
 ガイもこの事態にさすがに戸惑いを隠せない様子だった。
「みゅみゅ?!」
 と、その時。怖がってルークの足元にしがみついて離れなかったミュウが、何かに反応したように声を上げた。
「どうした、ミュウ?」
「ご主人様!正面の扉の方からいい匂いがするですの」
「いい匂い?なんだそれ。腹でも減ってんじゃないのか」
 呆れた視線をミュウに送るが、ガイがそれを否定した。
「いや、ルーク。ミュウの言う通り、確かに何か匂うぞ」
「そうなのか?・・・ってそういえばお前ら今トナカイだったよな。俺より鼻が利くのは当たり前か」
「人がいるのかもしれないな。ちょっと見に行ってみるか」
 そう言うと、ガイは匂いがするという正面の扉に近づき、息をひそめて扉の隙間から中を覗き込んだ。ルークもガイに倣ってこっそりと中を覗き込む。と、そこはどうやら2階まで吹き抜けの食堂になっているようだった。天井には豪奢なシャンデリアが吊るされ、部屋を明るく照らし出している。どうやら人はいないようだが、長方形の細長い食卓には、顔が移りそうなほど奇麗に磨いてある白磁の皿と銀食器が整然と並べられており、その食卓の中央にはクリスマスにちなんだローストチキンやスープなどおいしそうな料理が湯気を立てていた。ミュウではないが、見ているだけでお腹が空いてきそうだ。
「・・・ん?何か置いてあるぞ」
 中の様子を伺っていたガイが、テーブルの上に置いてある書き置きに気付き、音をたてないようにそっと扉を開いて中に入って行った。ルークも慌ててそのあとを追う。ガイは書き置きの中身をさらっと流して見ると、笑顔でルークに手渡した。
「どうやら、この料理は俺達宛てのものらしいぞ、ルーク」
「え?」
 目線で読んでみろと言われ、書き置きの中身を確認する。書き置きには、「サンタさんへ。毎年プレゼントありがとうございます。今年はお礼に心ばかりのご馳走をご用意しましたので、どうぞ遠慮せず召し上がってください」とだけ書かれていた。差出人は書いていないが、おそらくはこの館の主の子供か誰かなのだろう。
「へ~。気のきいた子もいるもんだな」
「俺はここに初めて来たが、おそらく以前も別のサンタがここにプレゼントを届けに来ていたんだろうな。お言葉に甘えて、ちょっと頂こうぜ、ルーク」
「そんなこと言って、ガイ、お前腹減ってたんだろ?」
「細かいこと気にするなって。うまそうだぜ~?」
 そう言うと、ガイはさっさと席についてスープを一口掬った。
「おお!これ結構いけるぞ?!」
「おいしいですの~♪」
 ミュウもサラダに入っていたレタスを頬張りながらご機嫌な様子だった。2人が食べているならまあいいかと、ルークもようやく席について、目の前でおいしそうに湯気を立てているローストチキンを切り分けて、それにかぶりついた。なるほど、ガイの言う通り、ファブレ邸お抱えのシェフに勝るとも劣らぬ上等な味だった。自然にこの屋敷に入ってから続いていた緊張も和らぎ、食が進む。
「ほんとうまいな~」
「ですの~♪」
 和やかな食事の雰囲気は続き、ルークがデザートのクリスマスケーキに手を付けた時異変は起こった。
「あ、あれ?何か眠気が・・・?」
「何だガイ?寝不足か??」
「いや、最近寝不足だったけど、ここまで疲れてたわけではないんだが・・・・」
「ガイ、ほんとに大丈夫か?」
「ああ・・・・」
 そう言って食卓に肘をついて目を抑えるガイに違和感を感じ、ルークが声をかけたが、ガイはそれに生返事を返すばかりだった。そして唐突にガイの体が椅子から食堂の床に音を立てて崩れ落ちた。ルークは慌てて席を立ち、向かい側にすわっていたはずのガイの元まで駆け寄った。
「ガイ!おい、しっかりしろ!?」
 何度揺さぶってもガイが起きる気配はなく。よほど眠りが深いのか呼吸もひどく静かだった。
「なんでいきなり、こんな・・・。おい、ミュウ。急いでソリを・・・?」
「みゅ~。なんだか僕も眠くなってきたですの~・・・・すぅすぅ・・」
「ミュウ?!」
 ルークの横の席でサラダを頬張っていたミュウも、食卓の上に大の字になって寝息を立て始めていた。この異常な事態に、頭がパニックに陥りそうになる。
「なんで、いきなりこんな・・・。まさか食事に!?」
 ハッとして食卓の上の食事を見る。ここに来るまで体に異常はなかったのだから、何かされたとしたらこれしかないだろう。
「ピンポーン♪大正解ですよ、ルーク。気付くのが少々遅かったようですがね」
「ですね~wこんな見え透いた罠にかかるなんてルークとミュウくらいかと思ってましたけど、まさかガイまでかかっちゃうなんて。さっすがですね~☆」
「誰だ!?」
 背後から聞こえてきた、場にそぐわぬその明るい声に振り向こうとしたが、突如感じた眩暈に、ルークはその場に膝をついてしまう。そのまま押し寄せる睡魔に抗う術もなく、ルークもガイの横にうつぶせに倒れこんで意識を失った。
「さぁて、実験室にさっさと運んでしまいましょうか。後は頼みましたよ」
「了解ですぅ☆」
そういうと、現れた2人組の内の一人は扉の向こうへと歩き去った。残ったもう一人も昏倒したルーク達を巨大な人形で抱え上げると、そのままその人物の後を追うように扉の向こうの闇へと消えて行った。そして、食堂には誰もいなくなった。


 
 それからしばらくして、どれだけ時間が立ったのか分からないが、ようやっと覚醒したルークはまだ重い瞼を懸命に開けて周囲の様子を伺った。月光すら届かない地下室の中はたき火で煌々と照らし出されており、石が積み上げられた壁には、何に使用されるのか考えたくもない様なおぞましい道具の数々が掲げられていた。とにかく体を起こそうと手足を動かしたが、しっかりと枷が填められており、自分が硬いベッドに固定されて身動きが取れない状態であることが分かった。手足を戒める枷から伸びた鎖が、ジャラリとむなしい金属音を立てた。
「おや?ようやくお目覚めですか、ルーク」
 どこかで聞いたことのある声に、そちらに目を向けると。
「おまえは、ジェイド!?」
「アニスちゃんもいるよ~☆」
 声の主はジェイドであった。その隣にはアニスもいる。ということは、食堂で毒をもって自分たちを捉えたのもジェイド達なのだろう。今まで気付かなかったが、姿が見えなかったガイは、なんだかご機嫌なジェイド達の背後で、簀巻き状態にされ猿轡をかまされて床に転がっていた。何かを必死に訴えているようだが、残念ながら猿轡のせいでうめき声にしか聞こえない。さらに言えば、何故かこちらを追い詰めるように目の前にじりじりと迫ってくる2人は、悪の譜術使いとリトルデビっこのコスチュームを着ており、逆光のせいでその表情は伺えない。激しく嫌な悪寒がする。本能が逃げろと訴えていた。
「ジェ、ジェイド・・・?」
「いやぁ、素敵なクリスマスプレゼントをありがとうございます、ルーク♪おかげで今年のクリスマスは有意義に過ごせそうですよ~」
「ですね~大佐ぁ☆今年は『新鮮な実験体』が2体も手に入って良かったです~」
「じ、実験体って誰が!?」
 嫌な予感を感じたルークの焦った声に、アニスが「だからぁ~」と呆れた声を出す。
「ルークとぉ、ガイがぁ☆」
 囚われている2人を、可愛いしぐさで交互に指さす。
「私たちがサンタに頼んだクリスマスプレゼントである、『新鮮な実験体』なんですよ♪まさか直々に届けに来てくださるとは思っても見ませんでしたよ」
 ジェイドの死刑宣告の様なその言葉が、ルークの脳内を駆け巡った。未だに混乱するルークに、何やら怪しい紫色に光る液体の入った小瓶を片手に、つかつかと静かに歩み寄ってきたジェイドが、にこやかに微笑みながら耳元で囁いた。
「安心してください、何も殺しはしません。貴重な実験体ですからね。じっくりと可愛がってさしあげますよ。ふふふふふ・・・・」
 いや、可愛がらなくていいから!っていうか耳元で囁くな気持ち悪い!!もう誰でもいいからほんと誰か助けてくださいお願いします神様ユリア様ついでにこの際ローレライでもいいから。だからとにかく誰か助けて!!!
「いやあああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」
 ルークの悲痛な叫び声が屋敷中にこだました。そして、彼らの行方を知る者はいなくなったという。
 
 
 
 
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