忍者ブログ

ゲーム・漫画などの2次創作小説やイラストを展示するブログです。

Twilight

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


ミスコン☆パニック

※このお話ではルークが女装してます。

女装なんて認めない。というかそんなの読みたくない。・・・と思われた方は、ここでこのまま引き返すことをお勧めします。

むしろ見たい。どんと来ーい♪ な方はどうぞ下へお進みください。













本当によろしいですね?

では、どうぞw





「俺は嫌だからな!絶対やらぬぇえからなーーーっ!!」
 
 朝早くから今日開催される祭りの準備で賑わうレムの街を見下ろす塔内のとある一室で、ルークの悲痛そうな叫び声が木霊した。爽やかで活気溢れる朝の空気とは裏腹に、彼の顔には焦りの色が浮かんでおり、常ならば元気にころころと輝くその目は今は半泣きで若干潤んでいる。じりじりとドアとは反対の壁際に後退していく、そんなルークを追い詰めるかのように、アニス、ナタリア、ガイが徐々に包囲網を狭めていく。何故かその手には化粧道具やら、女性ものの煌びやかなドレスやら、髪を梳かすためのくしやらが握られている。その後ろには困ったような表情でおろおろするティアと、何やら楽しげに黒い笑みを浮かべて、部屋の中央に備え付けの大型ソファーに悠然と腰掛けながら、そんな様子を傍観しているジェイド。そしてジェイドと対面のソファーに腰掛けながら、常の眉間のしわをさらに深くさせてそっぽを向いているアッシュがいた。そうこうしている間にルークは遂に壁際に追い詰められ、くしを手にしたガイに肩を掴まれて捕まってしまった。目をうるませて助けを求める様に見上げてくるルークに、ガイの良心が痛んだ。
「すまない、ルーク。もう決まってしまった事なんだ。諦めて受け入れろ・・・」
 言外に俺にはどうする事も出来ないというニュアンスを含んで告げられたガイの言葉に、ルークの目が絶望に大きく見開かれる。
「だ、だけど・・・!」
「もー!往生際が悪いよルーク。すぱっと諦めて観念しなさい!!」
「そうですわ。これも困っている民のためですのよ、ルーク!」
 民のためと言われれば、確かにそうなのかもしれないけど、今回のは件はどちらかというとその民が原因であって、俺は巻き込まれたといった方が正しいのではなかろうか?そんな事を言っても目の前の二人には通じるはずもなく。ナタリアは真剣そのものだが、アニスの方は若干楽しげなのは目の錯覚ではないだろう。覚悟を決められず渋るルークに、三人の背後でソファーに腰掛けてコーヒーブレイクを決め込んでいたジェイドが呆れた、けれどもどこか楽しげな様子で声をかけた。こいつも絶対にこのルークにとっては危機的な状況を楽しんでいる。
「ルーク。いい加減諦めて、おとなしく『女装』してあげればいいじゃないですか」
 ジェイドの目の前に座るアッシュの眉がぴくりと動いたが、彼は何も言わず事の成行きを見守っている。
「女装するといっても、コンテストの間だけなのでしょう?」
そう言ってコーヒーを飲みつつガイに視線を向ける。
「あぁ。今日のミスレムの塔コンテストが終わるまで頼むから我慢してくれ、ルーク」
 かつての仲間達全員から真剣な目を(ある者達はとても楽しげな目を)向けられて断れなくなったルークは、その場にずるずると座り込んで絶望の目を彼らに向けた。唯一アッシュの視線だけが、痛ましそうにこちらを労うものであったのがルークにとっては救いだった。
 
 
 今回の女装騒ぎの発端は、単純な書類のミスから起こった事だった。
今から一週間前。レムの塔内下層部にある役場では、一週間後に行われる「レムの街創立一周年記念祭」に向けて着々と準備が進められていた。この祭りには世界各国の要人も招かれており、キムラスカからは次期国王とその王妃であるアッシュとナタリアが。ダアトからは教団をまとめるテオドーロ氏の名代でティアとアニスが。マルクトからは同じくピオニー皇帝陛下の名代を任された、現在マルクトに帰国中であったジェイドが訪問してくる予定だ。五人は祭りの前日に到着するとのことだったので、祭りの準備に合わせてその手続やら歓迎の準備も合わせて行うことになり、役場の中は嵐のような忙しさだ。大量の書類や怒号が飛び交い、どの机も書類の山で埋まっている。何故この様に書類が多いのかというと。祭りの最大の目玉として催される、「第一回・ミスレムの塔コンテスト」の応募用履歴書が街中から送られてきているからで。
そんな慌ただしい空気の中、第一回ミスコン運営委員の役員は目の前に大量に積みあがった履歴書と格闘を続けていた。今は最終面接も終り、最後の書類選考中で、この審査をパスした女性五人が当日ミスコンに出場する予定だった。どうしようかと頭を抱えた役員の肘が履歴書の山にあたり、履歴書はそのまま雪崩を起こして床に散らばった。慌てて拾い集める役員に、それを見ていた同僚が笑って拾うのを手伝った。あらかた集め終わって一息ついたところに、どうやらあらぬ方向に書類が飛散していたらしく、別の同僚がこれもそうじゃないか?と持ってきた履歴書を礼を言って受け取った。その履歴書の写真には、見慣れぬ長い赤毛の整った顔立ちの女性が映っていた。一目でその女性を気に入った役員は、そのままその履歴書を書類審査合格の箱に入れてしまった。実はその女性だと思った人物は、レムの街運営と後学のためにキムラスカから出向して来たルーク・フォン・ファブレ子爵その人であり、審査対象者の履歴書ではなかったことには気づきもせずに。後になって気付いた時には時既に遅く、ミスコンの最終合格通知を出場者全員に送った後だった。
 
 
「もともとルークは顔立ちが整っているからな~あはははは(汗)」
「・・・」
 ルークに鏡越しに睨みあげられて、ドア付近に立たされていたガイは苦笑して口を閉ざした。
ガイが書類の不備に気づいたのは、他の女性達に混ざって結局パッと見で書類審査をパスしてしまい、ルーク宛てのミスコン参加証が贈られてきた後だった。「なんだこれ?」とルークが手渡してきた参加証と共に同封されていた合格通知を見て、慌てて運営委員会に出場の取り消しを訴えに言ったのが、一昨日のこと。しかし取り消そうにももう決定事項であり、記念祭の期日三日後に迫っていたため、逆に出てくれないと運営に支障が出るとミスコン運営委員に泣きつかれ・・・。
「で。断わりに行ったのが?逆に断れずにお願いされちゃって?俺の説得と出場依頼を引き受けてしまったと?」
「ルーク・・・。何かセリフが全部疑問形で怖いんだが・・・」
「・・・別に」
「ほら、ルーク。動かないで。髪をきれいにまとめられないわ」
 そう言うのはルークの背後で丁寧に朱い髪を結いあげながら「かわいい///」と目をうるませているティア。
「そうですわ。動かれるとちゃんとお化粧ができないではありませんの!」
 そう言うのはルークの前で広げた化粧道具を握り、なにやらうきうきしているナタリア。
「そうそう。やるって決めたんだから、大人しくしててね~ルーク~♪」
 そう言うのはそんな部屋の脇で広げたドレスやら小物やらを綺麗に仕舞いながら、にやにやとこちらを振り向いたアニス。
 結局あの後、抗う気力を失ったルークをガイが控室に連行し。「じっとしていてくださいませ」と様々な色のドレスをガイに運ばせているナタリアに、とっかえひっかえドレスを試着させられ。現在は大きな化粧用の鏡の前に置かれた椅子に拘束されて、顔やら頭やらをいじられている最中だった。メイクを施されまるで自分の顔ではないようだ、と乙女のような感想を、本来ならうきうきとした心境で語られるはずの場面でそれとは真逆の心境でもらした。
 鏡に映る自分は、普段着が白だから白の方がまだ着やすいだろうという理由で選ばれた、フリルとリボンたっぷりの白いAライン型七分丈のドレスを着こみ、首と頭にはバラの花をあしらったチョーカーとおそろいの髪飾りをつけている。腰回りや腹筋、ふとももの辺りなどはドレスで隠し、さらに、露出した男性らしい肩のラインを隠すために、少し厚手のレースを使った白いショールを羽織って・・・。化粧もしっかり施されているため、パッと見は本当に女の子の様に見えた。それを見て、ルージュをひいた唇から深いため息がもれる。
不意にドアがノックされ、顔をのぞかせたコンテストの運営委員が「そろそろお時間ですので舞台裏までお願いします!」と告げて足早に持ち場に帰っていくのを合図に、女性陣に先導されてルークは部屋を後にした。
「いいですか、ルーク。ただ黙って立っているだけでよろしいのです。そうすればコンテストなんてすぐに終わりますわ」
「そうそう。だからそんな気を落とさずにさ~」
「そうよ、ルーク。それに今のあなた、とっても可愛いわ///」
『『ティア!』』
 がくりと肩を落としたルークを見て、アニスとナタリアがうっとりとしているティアを遮った。ティアも失言に気づいたらしくすぐに慌てて取り繕う。
「ご、ごめんなさいルーク!あなたの気持も考えずに可愛いだなんて・・・」
「いいよ、ティア。気にしてないから・・・」
 何かが吹っ切れた様にさわやかにルークは答えた。そう、アニスの言うとおり、名前が呼ばれたら舞台に上がって、後は黙ってコンテストが終わるまでその場に立っていればいいのだ。幸いルークの出番は一番最後で、人の目にさらされる時間も少ない。ほんの数分我慢すれば済む事なのだ、そうだ、その通りだ!!
「さぁ、ラストの五人目は赤い髪の可憐な美少女、ルカ嬢だ!!」
 司会の言葉に、誰が可憐な美少女だ畜生!なんて危うく出そうになった悪態を無理やり飲み込みルークは歩みを進めた。ルカというのは、ルークという名前を使うわけにはいかないため、ガイが運営委員達と咄嗟に考えたこのコンテストの間のみの芸名のようなものだ。後ろで応援する女性陣に片手で行ってくるよと手を振り、舞台上に静かに上がっていく。想像以上の会場の人の多さに逃げたくなるのを必死にこらえる。ルークの姿がスポットライトに照らされ、会場からは感嘆のどよめきが起こった。舞台の端にはすでに出場者の4人の女性が整列してこちらを伺っていた。口元に手を当てて赤くなったり、胸の前に手を組んで目をうるうるさせていたり、みなそれぞれのぼせた表情でルークをうっとりと見つめている。いや、そんなうっとりした表情で凝視されても、俺男だし、うれしくない。・・・等とは口が裂けても言えない。
「これはこれはかなりの高評価だ~!赤い髪が白いドレスに映えてなんとも言えない可愛らしさ!うーん、びゅーてぃふぉおおおおおお!!これはもう優勝間違いなしかーっ?!」
 この司会、ほんとに殴り倒してやろうか。そんな事を考えている間に、コンテストの最終審査が始まった。審査員が顔を突き合わせて何事か話し合っている。その中に見慣れた青い軍服と赤いオールバックのでこを見つけて、危うく舞台の端から落ちかけた。ジェイド!アッシュ!?なんでお前らが審査員席にいるんだよ!!二人ともルークの視線に気づき、ジェイドは常の食えない笑みを貼り付けてこちらをちらっと見、アッシュはさっとこちらを見ないようにしているかの様に視線を逸らした。さては、おまえら、最初っからこうなること知っていやがったな。後で覚えてろよ・・・・。視線だけで人が殺せそうな目で審査席の二人を睨みつけた。実は二人とも、コンテストの審査員として、ルーク達が知る前にコンテスト参加者の名簿をレムの街に着く前に事前に手紙で受け取っており、運営側のミスで決まってしまったルークの出場を知っていたのだった。
「おおーっと。審査員の方々の意見が出揃ったようです!え~と何々?ふむ。では、発表します。栄えある第一回ミスレムの塔に選ばれたのは・・・・」
そんな司会の言葉にルークは思考を遮られて、他の四人の参加者と共に司会の発表を待った。四人は今か今かと待ちわびるように、ルークはさながら断頭台に上がる死刑囚の様な心持ちで。
「赤髪の可憐な美少女・ルカ嬢だーーーーーっ!皆様、盛大な拍手を~!!」
 パッと司会の言葉と共に自分に集中してあてられたスポットライトにルークの頭は真っ白になった。
「・・・はい?」
 思わず唖然として声がもれた。なんで俺が?というかマジで俺男なんですけどryなんて言う間もなく、コンテストの授賞式がそのまま始まった。審査員席で必死に笑いをこらえようとして肩を震わせているジェイドと、その隣で眉間のしわをより一層深くしながらも、何故か顔を赤らめたアッシュがこちらを見ていたが、そんな二人の姿も今のルークには目に入らない。ただ茫然として勢いに流されるように、優勝の証であるティアラと賞金を受取り、コンテストが終わって裏に控えていた大喜びの女性陣と申し訳なさそうなガイに連行されて控室に戻る。ルークがようやく我に返ったのは、女性陣にされるがままにドレスを脱ぎ化粧をすべて落とし、ガイに自室まで連れてきてもらった後だった。
 
 
「すまない。ほんにすんませんルーク様!ご主人様!!この通りだから頼むから機嫌直して出てきてください!!!」
「ルーク、機嫌を直して、ね?今日のご飯は、あなたの好きなチキン料理を作ってあげるから」
「・・・」
 コンテストが終わった次の日の朝。昨晩自室に戻ってからというものの、ベッドに潜り込んで膝を抱えてシーツを被り、拗ねたまま一向に動こうとしないルークの背中にガイは土下座する勢いで謝っていた。ティアも必死にルークの好物で釣ろうとするがあまり効果はなさそうだった。
「あーぁ。ルーク拗ねちゃったよ~。まぁ当たり前か」
「困りましたわね。せっかく優勝出来ましましたのに何がそんなに気に入らないのでしょうか?」
「いや、ナタリア。普通ならショック受けてこうなると思うよ・・・?」
「やれやれ。お腹が空けばすぐにまた起きだしますよ。放っておきましょう♪」
「眼鏡。おまえ最初っからこうなる事を知ってただろうが」
「おやアッシュ。あなただってそれは同じでしょう?」
 ベッドから離れた位置で、アニス、ナタリア、ジェイド、アッシュがルーク達を眺めながらそんな事を話している。
結局ルークがベッドから出てきたのはその日の夕方で、その夜塔内の食堂で仲間達に囲まれながらティアお手製チキン料理をつつく、うれしそうだが何所か元気のないファブレ子爵の姿を何人かの役員が目撃したそうな。
 
 
 後日談だが、「初代・ミスレムの塔ルカ嬢」の様々な催しへの出演依頼やファンレターが役場に殺到したらしい。申し訳なさそうに依頼通知とファンレターを届けにルークの自室に行ったミスコン運営委員に対し、怒り狂ったルークが大暴れして、近くにいたガルディオス伯爵とカーティス所長が止めに入り、ルカ嬢のイベント出演が全てキャンセルされたのは言うまでもなかった。
PR

COMMENT

Name
Title
Mail
URL
Color
Emoji Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment
Pass   コメント編集用パスワード
 管理人のみ閲覧

TRACKBACK

Trackback URL:
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
HN:
黄昏
性別:
女性
趣味:
ゲーム・絵を描く・読書・カラオケ
<<吸血鬼パラレル話設定集2  | HOME |  ルークと薬と収穫祭1>>
Copyright ©  -- Twilight --  All Rights Reserved
Designed by CriCri / Photo by Melonenmann / Powered by [PR]
/ 忍者ブログ