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Twilight

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クリスマスの悪夢・黒い屋根の家

※このお話はクリスマスの悪夢・1にある選択肢を選んだ先のお話しの1つです。間違って来てしまった人は戻るか、記憶から消し去りましょう♪

 


 


・ここは無難に一番普通そうな「黒い屋根の可愛らしい家」で。
 
 
 ルーク達は、青白い月光の元に照らし出された、その家の黒い屋根の上に降り立った。上空からでは分からなかったが、家の裏手にある庭には様々な色とりどりの花が植えてある花壇や、白で統一されたガーデンテラス、可愛らしい動物の形に切りそろえられた木が植えられており、なんとなくメルヘンというか、可愛らしい雰囲気だった。そう、例えば仲間の内の一人である、とある少女が好きそうな感じの・・・。
「ティアがいたら喜びそうだな~」
 足元に広がる可愛らしい庭を見ながら、ルークはそう呟いた。それを聞いていたのか、背負っている袋にしがみついていたらしいミュウが問いかけてきた。
「ティアさんですの?」
「ああ。本人は隠してるつもりみたいだけど、あいつ可愛いものとかに目がないからさ」
「ふむふむですの~」
「お~い、ルーク。もたもたしてると夜が明けちまうぞ~?」
 のんびりと話しこんでいる2人を見て、上空でソリを引きながら待機していたガイが急かしてくる。
「あ、そうか。わりぃ、すぐ終わらせるから~!」
「早めにな~!」
 そう言うとガイはソリを引いて、家の陰に隠れてしまった。どうやら下を通る通行人などからソリを隠すためらしい。しばらくすると、自分たちからは離れた位置からこちらを伺うように、ガイの顔がひょこりと心配そうに覗くのが確認できた。
「ご主人様、こっちに煙突があったですの~。ここから家の中に入るですの~!」
「お。よくやったなミュウ!」
 ミュウの言う通り、ミュウの横には人が1人は入れるか否かくらいの大きさの煙突が、ぽっかりとその口を開けていた。中を覗き込むと、暗い穴が下へと伸びているだけで、火の気配はしなかった。どうやら今は使われていないようだ。
「火はついてないみたいだな。・・・でも、どうやって降りるんだ?」
「お任せくださいですの!ミュウがご主人様を下まで運ぶですの」
 そう言うと、ルークの手をしっかり掴んで、「ウィーング!」という可愛らしい掛け声と共にミュウがその大きな袋状の耳をパタパタと動かし始めた。すると、ルークの体は宙に浮きあがり、次いでゆっくりと煙突の中を下降していった。間もなく足が床に着き、ルークは暖炉の中に静かに着地した。どうやら出てきたのは誰かの寝室だったようだ。小さな花瓶の飾ってある小窓脇のベッドで、長い髪を枕の上に散らせた少女が眠っていた。部屋の中には可愛らしいぬいぐるみや小物が、棚や箪笥などあちこちに飾られており、この部屋の持ち主の趣味が伺える。
(ご主人様、ちょうどターゲットのお部屋にでられたみたいですの!)
 ミュウが足元でぴょんぴょんと跳ねながら小声で訴える。人差し指を口に当てて「静かに」と注意すると、ルークはゆっくりとベッドで眠る少女の脇に近付いて行った。そっと顔を覗き込む。と、眠っている少女はティアであった。枕元にはミュウによく似たチーグルのぬいぐるみが置いてあり、抱きかかえるようにして眠っているのはパウダービーズ製の抱き心地の良さそうなブウサギのぬいぐるみだ。日頃の必死に可愛い物好きな一面を隠そうとしている彼女を知っている身としては、なんとも苦笑してしまう光景だった。
(ほんと可愛い物大好きなんだな、こいつ・・・)
(ご主人様、ティアさんへのプレゼントはこれですの!)
 そう言ってミュウが袋から取り出したのは、奇麗にカラフルなリボンでデコレーションされた、あのアニスが戦闘で使用している人形・トクナガだった。アニスのものと違うのは、ミュウと同じ様なトナカイのコスプレをしているところだ。
(これって・・・)
(クリスマス限定版トクナガ人形・1/1スケールですの。フォニムを通せばちゃんと本物同様に動く、完全予約制、マニア必見のレア物なんですの~♪)
(そ、そうなのか。まぁ女の子らしくて可愛いと言えば可愛いか・・・)
 トクナガのどの辺が可愛いのかは分からないがティアが喜ぶんならまぁいいか。そう思い、トクナガを眠るティアの枕元に置こうとそっとベッドの端に手を置いた。と、その時。微かな振動に気がついたのか、パッとティアの目が開いた。ルークも、まさか起きるとは思わなかったため、ティアと至近距離で見つめあったまま双方共に固まってしまった。ベッドに手をかけてティアを跨ぐ形でぬいぐるみを持ったまま固まるルークは、ティアから見れば襲おうとしている様に見えるわけで。そのまま2人の間に気まずい空気が流れる。最初は驚いたように目を見開いていたティアだったが、すぐに正気に戻り、その目がスッと冷たく細められる。嫌な汗が背中を伝った。
「あ、あの。ティア・・・?」
「・・・ノクターナルライトっ!!」
 恐る恐る声をかけて見たものの、ティアから返って来たのは短剣の嵐だった。
「うっわ、あっぶねー!何すんだよ!!」
 ルークは慌てて身を翻してそれを避けると、短剣を再度構えなおしているティアに向かって抗議した。
「あ、あなたこそ!こんな夜更けに私の部屋に侵入して、何しようとしてたのよ!!」
 顔を赤らめながらティアも怒鳴り返す。
「はぁっ!?別に何もしてねーって言って・・・」
「ノクターナルライト!バニシングソロゥ!!」
短剣と共に、今度は空中から譜力の塊がルーク目がけて降ってきた。ルークの傍であたふたとそれを見ていたミュウをプレゼントのぬいぐるみと一緒に横に弾き飛ばすと、ルークも慌てて脇に転がってそれを回避する。一瞬後には、ルークが今まで立っていた床のカーペットの上には薄く焦げ付いた後が残っていた。どうやら火力調整はしているようだが、それでも当たったら痛いもんは痛いだろう。
「殺す気かよ?!何もしてないって言ってるだろ!!それにお前なんて危険すぎて襲う気にもならないっつーの!!!」
「・・・・・・・イノセントシャインっ!!!!」
「え?ちょ、待っ!!?」
 ルークの制止の声も聞かずに発動されたティアの秘奥義の光は、部屋からの窓から溢れ出て通りを一瞬昼間の様に明るく照らし出した。閃光が収まった後には、部屋の中に平然と立つティアと、その足元で黒こげになっているルークが床に無造作に転がっていた。ルークに弾き飛ばされたついでに、物陰から一部始終を観察していたミュウが、心配そうに焦げて倒れているルークに駆けよった。
「ご主人様、しっかりするですの。死んだらダメですの~(泣)」
 ゆさゆさとその体を揺すってみるが全く反応がない。ただの死体の様だ。
「大丈夫よミュウ。軽くお灸を据えただけだもの。まだ生きてるわ」
「みゅ。そうなんですの?それはよかったですの~♪」
「ところでミュウ、あなた達、こんな夜遅くにどうして私の家に来たの?」
「みゅ。それは、ご主人様と一緒にこれをティアさんに届けに来たんですの~」
 ミュウは手にしていたぬいぐるみをティアの前に差し出した。それを見た瞬間、ティアは目を丸くした。
「これって、私が欲しがってたトクナガ・・・?」
「ですの~。ご主人様は、今サンタさんになってみなさんにプレゼントを配って回ってる最中ですの。それで、これを置いて行こうとしたらティアさんが起きちゃって喧嘩になっちゃったですの。だから、ご主人様を許してあげて欲しいですの~」
「そうだったの・・・」
 そう言って、足元に倒れているルークを見やる。
「悪いことしちゃったかしら・・・?ねぇ、起きて。起きて、ルーク」
 ぬいぐるみを抱きしめて申し訳なさそうにルークを揺さぶるが、それでもルークは一向に起きる様子がない。どうも様子がおかしい。
「あ、あら?ちょっと、ルーク。しっかりして?」
「ご主人様起きないですの」
「おかしいわね。・・・大変!息をしてないわ!?・・・・レイズデッド!!」
 ようやっと回復して正常に呼吸しだしたのを確認してほっと息をつく。
「ご主人様、治ったですの?」
「ええ。しばらくすれば目を覚ますはずよ。けど、このままだと風邪をひいてしまうわね。待っていて。今毛布を持ってくるから。ミュウには甘いホットミルクを作ってきてあげるわね」
「ハイですの~♪」
 そう言うと階下に消えて言ったティアは、しばらくして戻ってきたときには、温かそうな毛布とミュウのために平たい皿に入れたホットミルクを手にしていた。ミュウが飲みやすいように床に皿を置くと、床に寝たまま目を覚まさないルークに毛布をかけてやる。次いで暖炉に火を入れると、自分も毛布を羽織ってルークの横に腰を下ろした。
「どうやら私の勘違いだったようね。ごめんなさい、ルーク。・・・プレゼント、ありがとう」
 そう言うと、眠るルークの頭を優しく撫でた。残念ながらその夜のティアの珍しく優しげな表情をルーク本人が見ることは出来なかったが、翌日の朝目を覚ますまでティアが甲斐甲斐しく介抱していてくれたので、ルークにとってはある意味幸せなクリスマスだったのではないかと思う。
 一方、その頃、屋根の上でずっとルークとミュウを待っていたガイは、朝になって外に出てきたティアが凍りついてトナカイの氷像になっているガイを発見するまで、そのまま存在を忘れられていたという。
 
 
 
  
 

 
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