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Twilight

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アビスキャラ in MH2G・3

※アビスキャラ in MH2G・2 の続きです。話の途中で簡単な戦闘表現や流血表現が入りますので、苦手な方はご注意ください。




目の前に開けた灰色の空と、眼下に広がる草原と湖を見下ろしながらガイは今一息ついていた。目的地である峠についてからしばらく辺りを見て回ったものの、目標である小型竜はおろか草食動物の姿すら見当たらない。
「生き物の姿はおろか、手掛かりすらないとなるとお手上げだな。いったん陛下達と合流するか・・・?」
困ったな、と頭を掻きながら途方に暮れていると、少し離れた場所からいきなり生き物のけたたましい鳴き声が聞こえてきた。なんだ?!と振り向いてみる。と、突き出た岩の陰になって良く見えないが、自分のいる位置とは洞窟を挟んで反対側、下界に下る道の近くに青白い何かが見え隠れしていた。音を立てないように息を殺して、あちらからは死角となる岩壁沿いをそっと進み覗きこむと・・・。
「こ、こっち来るなよ馬鹿恐竜!あっちへ行きやがれ!!」
必死にニャーニャーと喚きながら、大きな猫の手型の武器を振り回している1匹の赤毛のアイルーがいた。雪山にも関わらず、装備は白のドングリメイルのみで、体はガタガタ震えており、顔色もひどく悪い。そんなアイルーの前には3匹の白い表皮を持つ小型の肉食竜・ギアノスがいた。大きく開けた鋭い牙の並ぶ口から耳障りな奇声を発し、逃がさないとでも言うように威嚇しながら仁王立ちしていた。3匹の内中央に立つ竜は、他の2匹よりも体が一回り大きく、どうやらこの群れのリーダーの様だった。その体躯は長身であるガイの身長を軽々と超すほど大きかった。
「あれが今回のターゲットか。それにしても、なんでこんなところにアイルーが・・・?」
猫型モンスターであるアイルーは本来密林地帯などの温かな気候を好んで生息しているはずである。見たところ装備を着こんでいることから、野良ではなくお供アイルーであるようだが、主人の姿は見えない。ここにくるまでも雪の上に人の足跡は残っていなかったことから、少なくともここ数日はこの辺りに人が立ち入ってはいないはずだ。どうもおかしいと様子を伺っている間に、アイルーは疲れきった面持ちでその場に膝をついてしまった。その隙を目の前にいるギアノス達が逃すはずもなく。あっという間に距離を詰めていく。
「にゃぁあああっ!!」
 その場から咄嗟に逃げることもできず、顔の前を腕で覆って叫び声を上げる。アイルーの目の前にギアノスの、分厚い氷をもやすやすと抉り取る鋭い爪が迫った。目の前で捕食されそうになっている小動物を、そのまま放っておけるほど冷酷になれなかったガイは、その瞬間に岩陰から飛び出した。横合いから雪を蹴って素早く接近し、ギアノスのガラ空きの横腹を、手にした細身の太刀で両断した。耳障りな悲鳴を上げて、切りつけられた肉食竜は宙を舞い、数メートル先の地面に勢いよく叩きつけられた。その反動でやわらかい新雪が跳ねあげられ、視界を白く覆った。そのまま動かなくなったのを横目で確認し、目の前に立つ残った2匹を見据える。一方、完全に奇襲を食らった肉食竜達には動揺しているようだったが、後ろに控えていたリーダーが嘶いたことによってすぐに体制を立て直し、じりじりと距離を詰めてくる。
「おい、君!大丈夫か?!」
 背後で蹲るアイルーに声をかけると、ゆっくりと身じろぎする気配が伝わってきた。
「にゃ・・・?お前誰だ?俺を助けてくれたのか?!」
「説明は後だ。動けるか?」
「ダメだ。3日もここにいたから寒くて体に力が入らないんだ・・・」
「3日も?」
 ガイがそう呟いた瞬間、隙を狙って2匹目が奇声を上げて飛びかかってきた。背後で動けずにいるアイルーを庇うため、そのまま太刀を眼前に構えて防御し、そのままはじき返す。ギアノスは反動で雪の上に着地すると、そのまま勢いを殺さず再度こちらへ突っ込んできた。このままでは消耗戦になるな、と焦りを感じ始めた時だった。今まで灰色の空の元に白く照らされていた峠の雪面上を、大きな黒い影が覆った。次いで、目の前のギアノスとは比べ物にならない程の咆哮が辺り一帯に響き渡る。何事かとその場にいた者全員が空を振り仰ぐと、その黒い影は自分たちの右手側、山頂へと続く道を背にして降り立った。ズズン・・・と超重量級の地響きとともに目の前に現れたのは、この山の主ともいえる飛竜種・ティガレックスだった。オレンジ色にブルーの縞模様のある体は、山のように大きく、完全に山頂と洞窟への道を塞いでしまっている。残る退路は左手の下界への道のみだ。しかし、それも目の前の2匹が邪魔で身動きが取れず、逃げることは困難かと思われた。
「ここまでか!?」
 ガイが悔しそうに唇を噛みしめた時、事態は動いた。それまでこちらを威嚇していた飛竜が、目の前のギアノス2匹目がけて突進して来たのだ。ガイは咄嗟に背後のアイルーを抱えると飛竜の死角となる岩影に身を隠した。眼前では飛竜の巨大な顎によって捕えられたギアノスの内の1匹が悶えながら悲鳴を上げていた。リーダーの方はどうやら突進の直撃を免れたようで、踵を返すと下界への道を目指して一目散にこの場を走り去って行った。このままここにいては見つかる危険性があるため、ガイも息を殺して飛竜の背後を通り抜けると、洞窟へと逃げ込んだ。なんとか気付かれずに逃げ延びたようで、飛竜が追いかけてくる様子もない。
「ふぃ~。なんとかなったみたいだな・・・」
 緊張が一気に抜けて、放心するようにため息をつくと、小脇に抱えていたアイルーを見る。と、どうやら切羽詰まった状態で手荒に連れて来てしまったため、ガイの腕の中で気絶してしまったようだ。
「おい、しっかりしろ。・・・あちゃー。ちょっと手荒くしすぎたか?」
 一向に目を覚ます様子の無いそのアイルーを、困ったような笑みを浮かべながら背負い直すと、洞窟の下方から自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「陛下!ジェイド!」
「ガイラルディア~!無事か―――っ?!」
「ガイっ!後ろです!!」
 ジェイドが叫びに反応して振り返るのと、しつこく追いかけてきたのか、下界へ逃げたはずのギアノスのリーダーが背後で唸り声を上げたのは、ほぼ同時だった。
「ガイっ!伏せなさい!!」
 タル爆弾を頭上に構えてこちらに走り寄るジェイドを見て、ガイは咄嗟に脇へ転げ、体制を低くした。ガイが今いた空間を切り取るように、投げられた爆弾が猛スピードで通り抜けていく。ガイによって死角となっていたために、反応が遅れたリーダーは、爆弾の直撃に遭い、激しい爆音と共に吹き飛ばされた。が、それでも致命傷には至っていない。ガイは素早く体制を立て直して走り寄ると、よろよろと起き上ったリーダーの喉元を太刀で力任せに掻き切った。肉と骨とを断つ鈍い手ごたえが腕に伝わり、リーダーは喉から血しぶきを上げながらその場に倒れ伏した。そして、そのまま動かなくなる。今度こそ本当に肩の力が抜けて、ガイはその場にどさりと座り込んだ。
「お手柄ですね、ガイ♪」
「危なかったな~。こいつが今回の討伐対象か。これだけの大物はそうそういないぞ?」
 隣に立ったジェイドが、ガイの肩をポンポンと叩き、遅ればせながらやってきたピオニーは、今しがたしとめたばかりの獲物を検分していた。
「これは上等な皮ですね~。牙や爪も加工すれば立派な装備品になるでしょう」
「ふむ。お前の腕は知ってたが、こうもあっさりとリーダー格を倒すとはな~。明日からはより難しい上級任務を申しつけるとするか」
「ええええ!?勘弁してくれ・・・」
 がっくりと項垂れたガイの背後で、不意にもぞもぞと何かが動いた。それに築いたジェイドは訝しげに声をかける。
「・・・ところでガイ。あなた先ほどから何を背負っているのですか?」
「え?ああ。こいつのことか」
 そう言って、背負ったままだったアイルーを、2人に見えるよう膝の上に抱きかかえた。
「アイルーじゃないか。おまけに結構可愛いやつじゃないか!それどうしたんだ?」
 動物好きなピオニーが真っ先に目を輝かせて反応を示した。そんなピオニーに苦笑しつつもガイは状況を説明しだした。
「さっき、この先の峠で1人ギアノスに囲まれているの助けたんですよ。どうやら3日以上この雪山にいたみたいで。さすがに戦えない者を守りながらで3匹相手ってのは骨が折れたんですが、山の主が現れたおかげでなんとか逃げおおせました」
「やはり主が近くにいたのか。よく生きて帰ってこれたな・・・」
「それより2人とも、この子の顔色があまりよくありません。すぐに村に連れて行かないと。お話はおいおい村長室でお聞きしましょう」
「違いない。それに主がいるなら長居は危険だ。すぐにここを離れるぞ!」
「はい!」
 眠ったままのアイルーを起こさないように背負い直すと、ガイは2人の後に続いて村への帰途についた。3人が村へ辿り着いたのは、陽がすっかりと落ち辺りが暗くなった頃だった。
 


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