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Twilight

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アビスキャラ in MH2G・2

※アビスキャラ in MH2G・1 の続きです。




夏でも凍えるほど寒い雪山の麓には、広大な平原と湖が広がっている。村からもほど近い場所にあるその湖には多種多様な魚が住んでおり、平原には食肉にもなる大人しい草食動物の群れや虫や植物が数多く見受けられる。ガイ達狩人も、この辺りで日々の食料調達や以来をこなすことが圧倒的に多い。穏やかな時間の中、まさに楽園のような奇麗な光景が広がるが、一歩その先にある山に足を踏み入れるとその景色は一変する。年中雪と氷で覆われた白い極寒の世界では、麓では見られない生き物たちが見受けられる。麓にもいた草食動物の他に、極寒の世界に順応した凶暴な小型の肉食竜・ギアノスや、猪、白猿などの牙獣種も数多く生息する。さらに、時折山の主ともいわれる強大な飛竜種も確認されており、非常に危険な場所でもあった。また山には大小様々な洞窟が存在し、地図がなければ迷いやすく、迷えばその寒さによってどんどん体力が削られていく。本来なら依頼がない限り、狩人はおろか近隣に住む村人たちさえ足を踏み入れない場所なのだが。今回は長であるピオニーとその従者アイルーによって、半強制的に連れてこられていた。なんでこんな危険なところに、とぶつぶつ呟いていると、前を歩くピオニーが心外な!とでも言うように振り返った。
「何を言うか!ガイラルディア、お前ペール爺さん以外にアイルー雇ってないだろう?ペールギュントはお前の親の代から雇われてる古参でもう歳だし、お供に連れて行くこともできない。今受けているギアノスの親玉の討伐依頼だって、お供無しじゃ苦戦するかもと思ってこうやって付いてきてやってるんじゃないか!」
「陛下は単に外に出たかっただけでしょう!?・・・さすがに初級レベルの相手ならたとえ1人でも目を瞑っててもこなせますよ」
「ちっ。バレてたか。だが、お前を心配しているのは本当だぞ?」
「そうですよ、ガイ。何故あなたはお供を雇わないのですか?1匹でもいた方が狩りの効率も上がるし安全でしょう?」
 眼鏡のブリッジを直しながら問うジェイドの意見に、それも尤もだ、と頷くが。
「それは分かってるんだが、どうも誰かを雇うってのが慣れなくてね。今までペールと2人で何でもやってきたから、身の回りの世話とかも自分でなんとかなってるし・・・」
「ガイは本当に使用人根性がたくましいですね~。やはり幼いころから陛下のところで働いてた癖が抜けないんですかね」
「悪かったな!俺は今のままで十分なんだよ」
 それを聞いていたピオニーは顎に手を当て考えながら言った。
「そうは言うが、ペール爺さんもお前の事心配してたぞ。『自分はもうお供として付いていけるほどの体力もなく、家で主の無事をお祈りするしかない。けれどガイラルディア様がお供をお付けになれば少しは心労も減りましょう・・・』ってな。」
「う~ん・・・」
「四の五の言わずにまずは雇ってみろ!村に帰ったらいい奴を何人か紹介してやるから。これは村長勅命だぞ!!」
「・・・分かりましたよ。仰せのとおりに致します」
 渋々頷くのを見ると、満足そうに笑ったピオニーは目の前に開けた洞窟の出口の前で立ち止まった。静かに洞窟の内部の様子を探ると、何かに気づいたようにジェイドに指示を出した。当のジェイドはタタタッと今歩いて出てきた洞窟のさらに奥へと消えていった。
「陛下、どうかしましたか・・・?」
「んー?いやな。さっきから周りに動くものが見えないんでな。今ジェイドに偵察に行かせてる」
「そう言えば・・・。この辺りにはギアノスの群れが住んでるはずなのに、見かけませんね。それに、静かすぎる・・・」
「大物が近くにいるのかもしれん。少し見て回ってみるか」
「はい」
 ガイが答えるのと同時に、洞窟の奥からジェイドの呼ぶ声が聞こえてきた。どうやら何か見つけたらしい。
「俺はこのままジェイドを追う。この辺りはまだそんなに危険なやつもいないから、手分けして情報を集めるぞ」
「了解しました。では俺はこのまま峠の方まで様子を見に行ってみますね」
「頼む。ではな!」
 洞窟の内部に向かって走り出したピオニーの背を見送って、ガイも洞窟とは反対にある峠へと抜ける道を進んでいった。
 ガイと別れて洞窟の最奥までたどり着いたピオニーは、一段高くなっている足場の上にジェイドを見つけた。眼鏡のブリッジに手を当てながら、じっと足元を見て考え込むジェイドに声をかける。
「どうしたジェイド、何か見つけたか?」
 ピオニーの言葉に、ジェイドは顎で地面を指した。
「この辺りに生息するギアノスの巣です。どうやらここ数日の間に卵が孵ったようですね」
「今回の依頼目標のやつか。そいつはちょっと厄介だな」
「えぇ、あの種は常に群れで行動します。今は子供のための餌を狩りに行って留守にしているのでしょうが、幼竜がいるとなると凶暴性がいつもより増しているかと・・・」
「それで生き物がみな静かになってるってわけか?」
「それともう一つ、これを」
 ジェイドが出しだしたのは、黒くつやつやと光る石の様な小ぶりの欠片であった。材質は硬く、先端が鋭く尖っており加工すれば刃物としても使えそうだ。
「これは、もしかして・・・」
「えぇ、主のものでしょうね。しかもまだ新しい。この近くに潜んでいるとみて間違いないでしょうね」
「と、なるとだ。さっさと依頼こなして帰らんと主に出くわす可能性が高いな。行くぞジェイド!ガイと合流する」
「御意に」
 ジェイドとピオニーは足早にその場を後にした。2人が去った後、洞窟の天井付近に空いた穴から覗く空を巨大な影が横切ったが、そのことに気付くものは誰もいなかった。


 

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