※このお話はアビスキャラがMH2Gの世界で暮らしてます。設定をお読みでない方はまずそちらからご覧ください。設定を既に読まれた方はどうぞ下へお進みください。
<MH2G オブジアビス>
夏でも凍えるほど寒く、吹雪が止まない雪山の峠にある朽ちたテント群の前に、一人の狩人とお供アイルーがいた。狩人は大振りの太刀を背負った栗色の髪の男で、目の前にちょこんと大人しく座っている自身のお供アイルーに何かを言い含めていた。
「よいか、ルーク。私は大物をしとめるために今からこの先に罠を仕掛けに行ってくる。時間がかかるとは思うが、準備が終わったら戻ってくるからここで大人しく待っているのだぞ?」
「はい、ヴァン師匠!」
雇い主であり敬愛する狩りの師匠でもある主人に対し、ルークは素直に返事をした。白のドングリメイルが所々凍りついていて寒々しい。
「良い子だ。では行ってくる。くれぐれもこの場を動いてはならぬぞ?」
頭をなでられ嬉しそうに喉をならすルークを一瞥すると、ヴァンは目の前にぽっかりと空いた洞窟の入口へと消えていった。ルークはその後ろ姿を見つめながらその場でじっと寒さに震えながら蹲っていた。
刻々と過ぎる時間の中、じっとしていては凍えてしまうため、その辺にいる大人しいモンスターを狩りその肉を食べて飢えを、皮を剥いで着こみ近くのテントの残骸を風除けにして寒さを凌いでいたが。1日経ち、2日経ってもヴァンは一向に戻ってはこなかった。
「師匠遅いな・・・」
3日目の朝になっても姿を見せぬ主人にさすがに不安になったが、この2日間の間雪山に放置され続けたためにほとんど体力が残っていなかった。これでは探しに行くことはおろか、この場から動くこともできない。ルークは倒れるようにその場に寝転んだ。雪山で眠ってはいけないというのは、狩りをする上での基礎中の基礎だとヴァンから以前習った事がある。けれど、分かっていても抗えぬほどの眠気に負け、ルークはそのまま目を閉じてしまった。
「・・・師匠、まだかなぁ。・・・あっしゅ。てぃ・・あ・・・」
そこまで呟いて、力尽きるようにルークは意識を手放した。
所変わってここはマルクト村。天気は晴天で、日差しも温かく絶好の狩り日和である。この村のギルドに属するガイは、今まさに村の入り口に立ち、狩りに出立しようとしているところだった。隣にはギルドの長で村長でもあるピオニーと、そのお供アイルーであるジェイドがつき従っていた。
「よし!ガイラルディア。さっそく狩りに行くぞぉっ!!」
「陛下!ダメですよ、村長でギルド長なのに村空けたりしたら!!」
「ガイの言うとおりですよ。大人しく村長室に戻ってはいかがです?」
「嫌だ!ずっと執務続きで体が鈍ってるんだ。少しは運動させろ」
そう言って、2人が止めるのも聞かずに雪山へ向かって歩きだしてしまう。
「ちょっと、陛下!待ってくださいよ~!?」
情けない声を上げながらガイがトホホ顔で後を追いかける。
「ジェイドの旦那も止めろよ。主人なんだろ?」
「こうなってしまってはもう止められませんよ。満足したら自分で戻るでしょうし、諦めて従うしかなさそうですねぇ」
陛下の護衛よろしくお願いします、とにこやかにのたまったジェイドに対し、ガイは深いため息をついた。
「ハァ・・・。今日は厄日なんだろうか・・・」
「ガイラルディア!ジェイド!もたもたしているとおいて行くぞ!!」
「はいはい。今参ります、まったくもう!」
護衛なんて素手でモンスターと渡り合うあの陛下には必要ないだろうが、形だけでも付いて行かないと、後々この主従に嫌味を言われてこき使われていびり倒されそうだ。そう思って、ガイは気を取り直すと前方で上機嫌に歩く陛下の後を追って雪山へと向かったのだった。
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