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Twilight

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平和な日常

ED後捏造話です。独自設定が多々ありますが、それでもOKな方はどうぞご覧ください。




エルドラントでヴァン達の野望を打ち砕き、世界に平穏が戻ってから2年半の月日が流れた。

 
キムラスカとマルクト両国間も、先の戦争を乗り越えて平和条約を結んでからというものの目立った衝突も起こらず、友好的な関係を築いていた。これは二人の英雄とその仲間達の尽力あってのものだと、英雄達の名と共に巷では有名な話として語り継がれている。現状で一番の問題となっているレプリカ問題についても、一時期世界中で確認されていたレプリカ達だったがエルドラント戦役以降その数も減少傾向にあり、現在ではキムラスカ・マルクト・ダアトの3者が協力して残されたレプリカ達のためのレプリカ保護育成機関の設立と運営のため動いている。瘴気問題も解決した今、世界は確実に復興の道を進んでいた。
 
半年前に二人の英雄が帰還して以降、世界が目まぐるしい発展を遂げる中、かつてのエルドラント戦役で名を馳せた英雄達もまた忙しい毎日を送っている。
 
ティアは、現在ローレライ教団を取りまとめている祖父のテオドーロ氏の名代として、新たにレムの塔に建造されたレムの街とダアトを行き来している。世界中のフォニムが減少傾向にある今、譜術よりも少量のフォニムで行使でき、しかも現在の威力の落ちた譜術と同等の効果を発揮する譜歌が注目を浴びており、ダアトの代表としてレムの街の運営に携わる傍らで、講師として町の人々や講義を受けにきた各国の軍人達に譜歌を教えているそうだ。
 
ガイは、マルクトで正式に伯爵位を継いで以来、その血筋も手伝ってかキムラスカとマルクト両国の橋渡し役として外交官の任に就いている。今は、レムの街の運営に携わりつつ両国間を飛び回る毎日で。外交の仕事がない時は相変わらずピオニー皇帝陛下のブウサギの世話係と、その皇帝の懐刀にこき使われているようで、休みが欲しいとぼやいてはいびられているそうだ。
 
ナタリアは、民衆に認められた王家の血を引かぬ王女として、より一層民衆のために尽力している。レプリカ問題にも積極的に取り組み、レプリカ保護育成機関の運営と有用性を説くために世界各地を遊説してまわっているらしい。マルクトのガイ、ダアトのティアとも外交仲間としてちょくちょく会っていると言っていた。アッシュとの婚約を発表してからというものの、以前にも増して元気になったと、アッシュが疲れた様子で言っていた。
 
ジェイドは、エルドラント戦役以降レプリカの研究を再開したらしい。「レプリカを代替え品ではない何かに昇華するために」ってことらしく、レプリカ研究の第一人者としてレプリカ保護育成機関の所長を務めることになり、現在はレムの塔に出向してきている。レプリカ研究をしつつも軍を退役する気はさらさらないらしい。研究と軍の二足のわらじを履くことになったが、ジェイドならきっと文句を言いつつも卆なくこなすんだろうなと思う。
 
アニスは、ダアトで次期導師候補としてめきめきと頭角を現しているらしい。今はモースの後大詠師となったトリトハイム大詠師の下で、フローリアンと共に日夜修業を積んでいる。最近ではフローリアンもだいぶ成長してきたらしく、導師の座を巡るライバルとしてうかうかしてられないとのことだ。時たまフローリアンを連れて遊びに来ては世間話やどこから仕入れてくるのか分らない噂話などを話して嵐の様に去っていく。
 
アッシュは、奇跡の生還を果たした後周囲の説得(脅迫、主にナタリアの)もあり、対外的にはルークの兄・アッシュ・フォン・ファブレという位置づけでファブレ家に戻り、王位継承のための準備を進めている。母上はもちろんのこと、意外にも父上にも泣いて帰還を喜ばれて、驚きのあまり眉間の皺がなくったのも記憶に新しい。ナタリアとの婚約も新たに結びなおして、昼は父上に従って政務の手伝いを、夜はインゴベルト陛下の下で国王の心構えを学んでいるとか。いつも疲れた顔してるから、今度お茶とお菓子でも持って行ってやろうかな。
 
そして、俺、ルークはというと。現在レムの街に建設されたレプリカ保護育成機関において世界情勢や一般常識などを勉強しつつ、そこで働いている。キムラスカを代表してファブレ子爵としてレムの塔に視察に赴き、そこでそのままダアト代表のティア、マルクトから出向してきた外交官のガイと、機関の所長となったジェイドと共にレムの街の運営を手伝っているのだ。本来ならばキムラスカにおいてアッシュと一緒に政務をこなしていたはずなのだが、幼い頃から勉強をさぼっていたことと、何故か帰還した時に2年前の姿のまま再生されてしまったらしく、外見年齢があの頃のままだったことも手伝って、社会勉強のためにレムの街に送り出されてしまった。アッシュはちゃんと成長した肉体で帰ってきたのに、何で俺だけ?とみんなに尋ねたが、「かわいいからいいと思うわw」というティアの言葉に何も言い返す気力が無くなってしまった。
当時のことはよく覚えていないが、アッシュから聞いた話だとこういう事らしい。
 

  ローレライを開放した後、やはり体が保たなかった俺はそのまま完全に乖離して一度は死んだらしい。そこでローレライは、散り散りになった俺のフォニムをかき集めて、何とか俺の核(魂みたいなものだろうか?)ともいえる部分の再生には成功したそうだ。ただし、いくら神と崇められる存在でもできない事はあったようで。肉体を構成するためのフォニムが足りずにどうしようもなくなったため、鍵に俺の核を封印した上で、先に生き返らせていたアッシュに鍵を押し付けて下界に返したのだそうだ。その後はティアやジェイド達の協力のおかげで、レプリカ技術を応用して核ごと俺を再構築したらしいんだけど。ローレライの話によると、ビックバンという現象は完全に同一の存在同士が一つの存在に戻ろうとすることで起きるものらしい。それゆえに片方の体の時間軸を敢えてずらしたことで、俺は同一存在ではあるがアッシュとは微妙に違うものになったらしい。生き返らせてもらったのは素直にうれしいし、みんなに感謝もしている。が、アッシュはでかくなってるのに俺は17歳の姿で、しかも髪まで昔のように長髪になってるって言うのはちょっとショックだった。だって。今の俺ってティアより年下なんだぞ。いや、実年齢考えれば年下なのは当然なんだけど、それでも外見年齢まで下になってしまったとなると、やはりショックなわけで・・・。唯一の救いは、身長までは追い越されていなかったことだけだ。これで身長まで越されていたら、もうほんとへこむと思う。

 それから・・・・・・
 
 
 
 コンコン・・・ガチャリ。
「おーい、ルーク。そろそろ昼飯の時間だろ?一緒に飯食いに行こうぜ」
 ドアを開けて入ってきたガイに、ルークはペンを置き、書いていた日記を閉じて振り返った。
「あれ?もうそんな時間か。わかった。今行くからちょっと待っててくれ」
 そう言うと椅子を引いて立ち上がる。自室の窓から見下ろせるレムの街は今日も快晴の空の下で賑わっている。自分が現在使っている部屋はレムの塔内を改装して作られた一室で、ティア、ガイ、ジェイドやこの町の運営に携わる主要人物達はみなこのレムの塔内に住み込みで働いている。レムの街の役場としても使用されており、下層部は役場など町の主要施設が併設され、中層部~上層部は住居となっているのだ。塔の周囲は、最初はレプリカのための保護施設とその関係者しか住んでいない小さな町だったが、今ではレプリカ研究を初めとして、様々な学問所や研究施設が集まり、多くのオリジナル達が移り住んできている。さながら学園都市といった感じか。窓から見える通りで子供たちが遊んでいるのが見えて微笑ましい。
そういえば、今日は午後からジェイドの執務室で個人授業を受ける予定だ。ジェイドが所長を務めるレプリカ保護育成機関はレムの塔のすぐ脇にある。昼食を取った後すぐに移動できるように、教科書やノート、ペンなどの道具を手近に置いてあった道具袋に放り込んで急いで部屋を出た。
「なんだ?随分と大荷物だな」
部屋を出た先でガイが待っていた。道具袋を見て「はは~ん」と顎に手をやった。
「昼から講義か?ファブレ子爵は学業に町の運営にと大忙しだな~」
「うるせー。ジェイドが空いた時間に勉強見てくれるって言ったんだ」
そう言ってガイの隣に立ち、二人で階下へと大螺旋階段を降りていく。階段を一段降りるたびに、邪魔にならないようにと後ろで一つに結い上げた長い朱髪が揺れた。今向かっている下層部には役人用の食堂が併設されている。今日はそこで昼食だ。
「ジェイドがお前に個人授業ね~。今は何を習ってるんだ?」
「え~っと、確か、マルクトの歴史とか流通とかかな?」
 道具袋から取り出したノートに目を走らせてそう答える。
「『仮にも子爵としてこの街の運営に関わっているのですから、両国の歴史や経済などは覚えておいて貰わないと困りますね~☆』だとさ。もうスパルタ授業で大変なんだぜ、あの鬼畜眼鏡!」
 ジェイドのモノマネをするルークにガイが噴き出した。
「あっはっは。頑張れよルーク。おまえのためにジェイドもやってくれてるんだからさ。でも、あの鬼畜眼鏡に遊ばれないように気をつけろよ~?」
「そうですよ~。たぁっぷり遊んであげますから覚悟しておいてくださいね~ルーク~♪」
 いじわるそうに顔を歪めてルークをからかっていたガイは、ルークの背後に目をやってピシリと固まった。ルークは背後から唐突に現れたその声の主に背筋を凍らせる。後ろから肩をがっしりと掴まれていて体が動かせない。なんとか首だけ背後に向けると、そこには予想通り、いつもの青い軍服ではなく白衣姿の泣く子も黙るネクロマンサーがめっさイイ笑顔で立っていた。心なしかその笑顔が怖いのはきっと気のせいではないだろう。
「ジェ、ジェイドの旦那。何でここに?この時間は機関の執務室で仕事中のはずじゃ・・・」
 ガイはひきつった笑顔でそう問いかけた。それに対しジェイドは胡散臭い常の笑顔を浮かべて応戦する。
「仕事なら午前中に終わらせましたよ。午後からルークの勉強をみる約束をしていましたしね。・・・それよりも、随分と言いたい放題言ってくれますね~。ルーク、ガイ?」
 なんだったら、二人とももっと厳し~くしてあげても構いませんよ?と背後で楽しげに告げられた台詞にビクリと身を震わせる。
『『勘弁してください・・・(汗)』』
 二人揃ってうなだれて謝る様子に、ジェイドはにこやかに笑い、また歩き出した。
「馬鹿やってないで、早く昼食を取りにいきますよ?そろそろ食堂が混んでくる時間です。それはそうと、この前出した宿題はちゃんと終わっているのですか、ルーク?」
 そう言って階段を下りていくジェイドを二人は急いで追いかけた。
「当たり前だろ!」
「おや、残念ですね。終わっていなかったらいろいろとお仕置きをして差し上げようかと思っていたのですが」
「何するつもりだったんだよ!?(汗)」
「それは、秘密です☆」
「・・・」
「まぁまぁ、旦那。それぐらいにしておいてやれよ」
 見かねたガイが助け舟を出す。ありがとう、ガイ!とルークは目をうるませて思った。このネクロマンサーのからかいの手から救い出してくれるのはおまえくらいだよ。他の職員達は、こういうからかいモードに突入したジェイドには怖がって近寄っても来ないんだぜ。そりゃあ、この鬼畜眼鏡ににらまれたら泣いてる赤子すら震えあがって泣くのをやめる、いやむしろ石化しちまうかも?なんだかんだで付き合いのある俺達でも怖い時あるもんな~。
「ルーク。思っていることがおそらく全て口から出てますよ?」
ジェイドの眼鏡がキラリと光った。まずいと思って口に手をやるが時すでに遅く。ルークは開き直って二人を追い抜いてずんずんと先に進んだ。
「と、とにかく!さっさと飯食いに行こーぜ。俺はチキンカレーな!!」
そんなルークを見て、大人二人は苦笑して顔を見合わせた。
「んじゃ俺はシーフードカレーにでもしようかね。あ、ルーク。ちゃんと野菜も食べないと・・・ってこら待て!置いてくなよ!!」
「やれやれ、相変わらず賑やかな方達ですね。では私はマーボーカレーにでもしますか」
「早く来いよー、二人とも~!」
 言うが早いか食堂に駆け込んでいったルークを追いかけて、ガイも慌てて食堂のドアを潜っていった。そんな二人の背中を見送って、ジェイドは穏やかな表情ですぐ脇にある窓から空を見上げた。
 
 
 天気は雲ひとつない快晴。今日も今日とて、レムの街は平和である。

 
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