忍者ブログ

ゲーム・漫画などの2次創作小説やイラストを展示するブログです。

Twilight

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


帰還3

ED後捏造話・帰還2の続きです。

  どれくらい経っただろうか、ティアが目を覚ますと辺りを包んでいたまばゆい光は収束していた。仲間たちも次々に起きだしているようで、大事には至らなかったようだ。ふとルークのことを思い出して譜陣の中央に目を向けると、ローレライの鍵と共にそこには淡い光を放つ人影がふわふわと浮かんでいた。しばらくすると人影はふわりと音もなく床に舞い降り、光が納まると、そこには毛先にかけて金色にグラデーションのかかった朱色の長髪の少年が目を閉じて横たわっていた。思わず皆傍に駆け寄るが、少年はぴくりとも動かず、目を覚まさない。失敗したのか?という不安が脳裏をよぎり、皆口々に彼の名を呼んでいるが、一向に反応がない。
「ルーク、お願い。目を開けて」
ティアも彼の手を握り、沈痛な声音で静かにそう呼びかけた。ティアのその言葉に、誰もが緊張から声を発する事ができない中、呼びかけに反応したかのように、ゆっくりと彼の目が開かれた。瞼の裏からきれいな翠が現われる。皆息をのんでその様子を見守った。目覚めた彼はしばらくぼんやりとしていたが、周囲をゆっくりと見回した後「あれ?」と呟いた。
「・・・俺、たしかローレライを開放して消えたはずじゃ・・・」
 茫然としたルークの言葉に皆は安心したように笑顔を浮かべた。
「何言ってるんだルーク。おまえはここにちゃんといるじゃないか」
「ガイ・・・」
「おかえり、ルーク!」
わしわしと頭をなでながら言われたガイの言葉に、ルークもつられて笑顔を浮かべた。
「まったく、あなたは本当に私の考えを覆してくれますね」
「それ、ほめてんのかけなしてんのかどっちだよ、ジェイド」
「ほめてるんですよ。おかえりなさい、ルーク」
 ジェイドのひねくれた分かりにくい優しさに苦笑しつつ、それでも嬉しそうに頷いた。
「お帰りなさいませ、ルーク。みんな待ちくたびれていましたのよ?」
「ごめん、ナタリア。ありがとう」
 いつもストレートなナタリアの言葉に素直に礼を述べた。
「もうルークったら寝坊癖全然治ってないんだから~」
「寝坊って・・・」
「今度アニスちゃんを待たせるような事したら、ダアトの有名なスウィーツおごってもらうからね!」
鼻先をびしっと指さされて気押されつつも、アニスらしい台詞にわかったよと苦笑して答えた。
「・・・・・。」
「・・・・・(汗)」
「・・・・・・・・・フンッ」
 なんだよそれ!と心の中で突っ込みつつも、ふいっと視線をそらしたアッシュの顔が赤かったのをルークは見逃さなかった。
「ルーク・・・」
「ティア・・・」
 最後に、ルークはティアの顔を見た。ティアは目をうるませていて瞬きした拍子に涙が零れ落ちた。ティアが泣いている所なんか滅多に見たことがないので、内心ちょっと驚いたことは本人には言えない。
 ティアは若干すねたような、けれど嬉しさを隠しきれない様子で言った。
「待ちくたびれたわ」
「ごめん」
「もう戻ってこないんじゃないかって思ってた」
「ごめんな」
「・・・」
「・・・約束果たすの遅くなっちまった」
そう言うと、思わず衝動的にティアを抱き寄せた。なぜこんな行動をしたのか自分でも分らないが、ティアがかわいいと思ったら自然に体が動いてしまっていた。驚いたティアは腕の中で顔を真っ赤にしながら硬直している。これは、正気に戻ったら殴られるかな?と思いつつ、腕の中で真っ赤に顔を染めているティアに、ルークは幸せそうな笑顔を浮かべてやさしく告げた。
「ただいま」
「・・・バカ。おかえりなさい」
 涙声のティアの言葉と腕の中のぬくもりに、ルークは心がほわっと温かくなるのを感じた。多分幸せっていうのはこういうのを言うのだろうなとルークは思う。
【聖なる焔の光よ】
不意に脳裏に脳裏に声が響いた。驚いて振り返ると、そこには人型のオレンジ色の炎の塊が揺れていた。あれはローレライだとルークは直感で分かった。解放した時にアッシュと共に地殻でその姿を見たことがあったからだ。
【おまえの体の中に鍵を埋め込む。鍵の力で、おまえが寿命で死ぬまでフォニムが乖離することはない】
そう言うとローレライは近くに浮いていた鍵をルークの前に差し出した。鍵が発光しだしたかと思うと、ゆっくりとフォニムに分解されるように形を失っていき、ルークの中へと吸い込まれていった。鍵は見る間に消えうせた。
【では、我は音譜帯に戻ろう。何かあればまた呼ぶがいい、我が魂の半身達よ】
そういうが早いか、ローレライは一瞬炎を燃え上がらせたかと思うと跡形もなくその場から消え失せていた。仲間達はそれをただ唖然として見送っていた。相変わらず言いたいことだけ言って去っていくローレライにルークは苦笑した。
「・・・あ、あの・・・」
腕の中から遠慮がちに声がかけられた。見下ろすと、そこには顔を真っ赤にしたティアがいた。
「い、いつまでこの態勢なの・・・?///」
そういえば、衝動的にティアを抱きしめてから今までずっとこのままだったような、そこまで考えて、ルークも途端に顔を赤くした。先ほどはその場の勢いで抱きついてしまったから良かったが、ふと冷静になった今、これはかなり恥ずかしい状態なのではということに思い至る。
「で、いつまでティアと抱き合ってるの~ルーク~♪」
 そんな二人の心境を知ってか知らずか(おそらく確信犯)アニスがいつもの調子を取り戻してニヤニヤしながら茶化してきた。
「おいおい、アニス。二人とも久しぶりなんだし、たまにはいいんじゃないか?」
「そうですわ!この2年間のティアの落ち込み様はアニスも知っているでしょう?私もアッシュとあの様に・・・///(妄想の世界へ)」
「ナタリア・・・!///」
「あ~~、はいはい~」
アニスは半眼になって、今にも背景に花が咲き乱れそうなもう片方のバカップルをあしらった。ガイも顔を引きつらせたまま苦笑している。
「いやぁ~、みなさんお若いですね~♪」
「ですよね~大佐♪もうなんか、見せつけてんじゃねーよやろーてめーぶっ殺す!って感じですよね~☆」
「アニース、地が出てますよ~?」
「キャワ~ン☆そんなことないですよぅ大佐ぁ♪」
 そんな事を脇で言われて、ティアは耳まで赤くなって硬直した。ルークが心配そうに顔を覗き込む。いきなり接近してきた彼の顔にティアはさらに赤くなって・・・
「ち、調子に乗らないでっ!!!!///」
 ルークを思いっきり突き飛ばした。
「ぅわあぁぁっ!?」
いきなりのことに油断していたルークはそのまま突き飛ばされて床に頭を打ち付けた。そのまま頭を抱えて悶えている。
「ルーク?!ご、ごめんなさい!」
 慌てて駆け寄ったティアはそのままルークに治癒術をかけ、ルークは大丈夫だとそれを手で制した。そしておもむろにその場で立ち上がると、視線をこちらに向けた仲間達にもう一度、今度は先ほどよりも大きな声で満面の笑顔を浮かべてルークは言った。
「ただいま!!」
 
 
こうして二人の英雄はオールドラントへと帰還したのであった。
PR

COMMENT

Name
Title
Mail
URL
Color
Emoji Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment
Pass   コメント編集用パスワード
 管理人のみ閲覧

TRACKBACK

Trackback URL:
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
HN:
黄昏
性別:
女性
趣味:
ゲーム・絵を描く・読書・カラオケ
<<帰還2  | HOME |  平和な日常>>
Copyright ©  -- Twilight --  All Rights Reserved
Designed by CriCri / Photo by Melonenmann / Powered by [PR]
/ 忍者ブログ