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Twilight

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帰還2

ED後捏造話・帰還1の続きです。


空を貫くかの如く天高く聳え立つレムの塔。その最上階にティア達は立っていた。雲ひとつない空の下立つティア達の周囲には、瘴気中和の名残でまだ大量の第七音素が満ちている。ここに来ると先の戦争中にルークたちが行った瘴気中和の時のことを嫌でも思い出す。目の前で消えていくレプリカ達と、死に向かおうとする彼の後ろ姿を黙って見ているしかなかった当時の自分を思い出して、ティアは歯がゆく感じた。あの時ちゃんと止めていればルークの体はまだ保っていたかもしれない、なんて暗い思考に陥ったのに気づいて、頭を振り無理矢理思考を中断した。隣に立つアッシュが怪訝そうに見つめてきたが、「なんでもないわ」と答えて前を見据えた。ルークが戻ってくる可能性がまだあるのに、いつまでも後ろを向いていてはいけない。そう心に決めてここまで来たのだから。
ふと脇を見ると、ジェイドは床一面に難解な譜陣を描いており、アニスはその手伝いをしている。ガイとナタリアは未だに階下をうろつく魔物達の警戒をしており、ティアはアッシュと共にその譜陣の中心に立ち準備ができるまで静かに待っていた。やがて、おもむろにジェイドが立ち上がると譜陣が淡く発光を始める。準備は全て整った様である。
「全体の流れはこうです。まずアッシュのローレライの鍵とティアの大譜歌でローレライを召喚します。その上でローレライに集めてもらった第七音素を鍵の力で譜陣へ集約し、譜陣の構築式を用いてルークの核ごと肉体の再構築を行います。再構築はレプリカを作るのと同じ原理ですからこの譜陣でも十分可能でしょう」
 よろしいですね?というジェイドの言葉に、全員が無言で頷いた。皆真剣な面持ちで譜陣の中央に立つティアとアッシュを見つめている。
「それでは、ティア、アッシュ。始めてください」
その言葉を合図に、アッシュが鍵を掲げ、レムの塔に大譜歌が響き渡った。
 誰もが息をのんで見守る中、大譜歌に反応するかの様に上空にオレンジ色の炎が音もなく沸き起こった。最初は小さな火だったものがいつしか大人一人分ほどの大きさになり、終には人間を模った姿となってこちらを見下ろした。アッシュが「ローレライ」と呟いたのを聞いて、ようやくティア達はそれがローレライなのだと理解した。
【我はローレライ。第七音素の意識集合体。ユリアの契約に従いここに来た。何用か、ユリアの子孫よ?】
 歌うような低い男性の声が辺りに響き渡った。
「ローレライ」
 歌い続けるティアの横で、アッシュはその音の炎の塊、ローレライに静かに声をかけた。
【アッシュか。おまえがいるということは、ルークの事だな】
「そうだ。準備は整った。ルークを再構築するためにお前の力を借りたい」
【承知した。我が魂の半身のため力を貸そう】
ローレライはそう答えると自らを構成する音の炎を燃え立たせ、周囲に満ちる第七音素と共鳴を始めた。それと同時に足元の譜陣が大譜歌に合わせるように明滅しながら輝きを増した。
【我は今からここに満ちる第七音素を集め、おまえに託そう、アッシュ】
「アッシュ、鍵で第七音素を譜陣に集約してください。その音素を使って構築を始めます!」
膨大な量の第七音素の集約によって、辺りにはアッシュを中心として強風が吹き荒れていた。その強風に負けぬよう、ジェイドは声を張り上げる。アッシュは頷き、譜陣に向かって集めた音素を注ぎ込んだ。目を開けていられない程の光が迸る中、ジェイドは素早く、しかし慎重に術の詠唱を始める。慎重に手繰り寄せるように術を編み上げていく。
ティアはなおも大譜歌を唱えながら思った。これに失敗すればルークは永遠に失われてしまう。それだけは絶対に避けたかった。ふと何かの気配を感じて見上げると、譜陣の中央、ちょうどアッシュの頭上辺りに、鍵からふわりと分離して出現したオレンジ色のやさしく淡い光を放つ球体が浮いていた。ああ、あれはルークだ、とティアは直感で感じた。仲間達も気づいたようで、それぞれが祈るようにその光を見つめている。鍵で音素を操るのに集中していたアッシュもそれに気づきじっと球体を見つめている。
 そうこうしている間にも球体の周りに音素が集まり、球体はだんだんと質量を増し大きくなっていく。人間が入れるほどの大きさになったその球体の中に懐かしい赤色を見つけた気がして、ティアは思わず手を伸ばしていた。
「ルーク!!」
 そう叫んで無我夢中で伸ばしていた。不意に手の先に温かいぬくもりを感じた。「ティア」と脳に直接響いた懐かしい彼の声に涙がこぼれそうになる。その声を合図に強烈な光が辺りを照らしだし、それと同時に強風が巻き起こった。ティア達は思わずその場で目を覆ってしゃがみこんだ。目の前が白く塗りつぶされ、あまりの強風にティア達はフロアの端まで吹き飛ばされ気を失った。
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