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Twilight

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アビスキャラ in MH2G・6


※この話はアビスキャラ in MH2G・4 の続きです。







 ルーク、ガイ、ジェイドが雪山の麓で仲良く狩りをしているのと同じ頃。火山帯のほど近くに位置するダアト村でも何やら騒動が起きていた。黒いドングリメイルを着た1匹のアイルーがギルドの集会所に飛び込んで来たのだ。集会所の中は一瞬静まり返り、皆が何が起きたのかと集会所の入り口を驚いて凝視する。が、その場にいたギルド員達はその黒いアイルーの姿を確認すると、「毎度の事だ」とでも言うようにすぐに仕事に戻って行った。その黒いアイルーはギルド長のお供の内の1匹であり、こうして騒ぎを起こすのが日常茶飯事だった。常と違う事と言えば、いつもなら彼の後ろを白いドングリメイルを着た、彼によく似た顔のアイルーが慌てて追いかけてくるのだが、今はその姿は見えない。既に関心を失って仕事に戻る人々の様子に気にした風もなく、黒いアイルーはまっすぐにギルド長室を目指した。そして、部屋の前まで来ると、ノックもせずに乱暴にドアを開いた。
「ヴァン!屑はまだ見つからないのか!!」
 突然現れたアイルーに対し、ヴァンと呼ばれたその男はさして驚く様子もなく、ギルド長室の執務用デスクに座って仕事を黙々と続けていた。代わりに答えたのは、ヴァンの横できりっと直立している、やはり黒いぴったりとした服を着たアイルーだ。名はリグレットと言い、ヴァンの補佐を務める、金色の毛の美しいメスのアイルーだった。「リグレット教官に怒られ隊」などという、ギルド所属ハンター達の隠れファンクラブもあったりする程人気なのだが、それはまた別の話で。
「アッシュ!閣下は今執務中だ。入ってくる時はノックをして、静かに入室するようにといつも言っているだろう?」
 きつく咎めるような視線を送られると、アッシュと呼ばれたそのアイルーは一瞬怯むが、負けじと言い返した。
「う、うるせぇ!それよりも屑の事だ!!捜索隊を何度も派遣しているのに、いつまでたっても何の手掛かりも見つからないとはどういうことだ?」
 ようやっと手元の書類から目を上げたヴァンが、アッシュを見つめた。
「アッシュ。落ち着きなさい。ルークの失踪については私にも責がある。双子の弟が雪山で遭難したというのはショックだろうが、今皆で懸命に捜索中なのだ。少しは待つことも覚えなさい」
「ぐっ・・・」
「アッシュ。閣下もお心を痛めておいでなのだ。少しはそのお気持も察して差し上げろ」
 リグレットの言葉に押し黙るアッシュだったが、その顔にはありありと不服だという心境が見て取れた。
「・・・アッシュ。今日の狩りはお前をお供に連れていく。家に帰って準備をしていなさい」
 そう言うと、また手元の書類に視線を落としたヴァンに対し、アッシュはキッと睨みつけると啖呵を切るように言い放った。
「断る!俺はこれからルークを探しに行く。いつまでたっても手掛かりすら見つけられない奴らに任せておけるか!!」
 そう言うとくるりと踵を返して部屋を走り去った。
「待ちなさい、アッシュ!命に反する気か!!」
「・・・まぁ、待てリグレット。雪山に出向いたところで、今は降雪の多い時期。アレのいた痕跡などもう残ってはいまい」
「しかし・・・」
「アレは私に忠実だ。命令なくその場を離れることはないし、アッシュより劣化しているアレの体力では3日と保たないだろう。たとえ見つかったとしてももう生きてはいないだろうし、遭難者の凍死体として処理される。問題はない」
「アッシュの処分はいかがしますか?」
「放っておけばいい。たまにはアッシュの我儘を聞いてやるのもいいだろう」
「はい」
「今日の狩りのお供はラルゴに変更する。連絡は任せるぞ」
「はっ!了解しました!」
 ピシッと敬礼をすると、リグレットは部屋を後にした。その背を見送ると、ヴァンは窓辺に立ち遠くにかすんで見える、今アッシュが向かっているだろう雪山を見つめた。
「アッシュ。何故ルークの様に素直に懐いてくれないのか・・・」
ヴァンは複雑な親心を抱えたまま、そっとため息をついた。
 ヴァンが執務室でため息を付いている頃、アッシュはヴァン宅で荷物をまとめていた。これからしばらくは雪山で生活することになるので、準備は入念にしなければならない。そんなアッシュの傍らで彼を困ったように見つめているのは、アッシュの同僚であり、一般のアイルーよりも大柄な体躯のラルゴと、料理番のティアだった。その体躯に見合う、堂々とした低音でラルゴが問いかけた。
「アッシュ。小僧を探しに行くと言うが、閣下の許可は取ってあるのか?今日のお供はお前のはずだろう」
「そうよアッシュ。ルークの事は確かに心配だけど、けどあなた一人で雪山に行くなんて危険すぎるわ!」
「許可ならもう取ってある!(嘘だがな)」
「そうなの?でも・・・」
 尚も心配そうに食い下がるティアに、アッシュは無視して準備を進めた。
「ヴァンの野郎が付いていたのに遭難したってことは、雪山で何かあったんだ。それに、まだ生きている可能性もある以上は、俺は何と言われても行くからな!・・・・・何か分かったら連絡くらいはしてやる」
 そう言うと、荷を詰め込んだタルを背中に括りつけて、アッシュは玄関へと向かった。もう何を言っても聞かんな、と判断したラルゴはため息を付くとその背を黙って見送る。ティアも玄関まで追いかけて、その黒い背が村の入り口を通り抜けて消えるまで、静かにその場で見守っていた。
 
 
アッシュがダアト村を旅立った二日後の朝。ルークとガイは新たな依頼を確認するために村長であるピオニーの元を訪れていた。普段は執務室を抜け出しては、鬼の形相(すばらしい笑顔)で追いかけてきたジェイドに連れ戻されて、と脱走を繰り返しているピオニーだが、一応仕事はちゃんとしているらしい。影で村長を支える部下達の涙ぐましい努力があってこそ村とギルドの運営がスムーズに行われている、とも言われてはいるが。今日も朝から脱走して連れ戻されてきたばかりのピオニーは、目の前に立つ2人に手持ちの依頼書の内の数枚を机の上に並べて見せた。
「ガイラルディアの腕なら、上級レベルの依頼でも十分こなせるとは思うんだがなぁ」
 机の右端に並べられた「上級」の印のある依頼書を指してピオニーが言うが、ガイは首を横に振った。
「まだルークとの連携も完璧とまでは言えませんし、上級ともなれば些細なことが命取りになります。しばらくは初級から中級辺りまでの依頼をこなして慣れていきますよ」
「そうか?それならいいんだが・・・。そうだな、これなんかどうだ?雪山の大猿退治!もしくは雪山に現れた謎の白い竜の目撃例なんてのもあるが。どうする?」
「では、その大猿の・・・」
「へ~いか♪その白い竜の方でお願いします。少しは手ごたえのある相手の方がルークの練習にもなりますしね」
背後から書類を持って現れたジェイドが、有無を言わさずその謎の竜の依頼書を抜き取った。竜の特徴や発見場所などが詳しく書かれているその書類に一度目を通すと、はい♪、とガイに手渡してしまった。
「はい♪・・・ってジェイド!俺の依頼を勝手に決めないでくれよ」
「おや?何か問題でも??」
「あるだろう!」
「ガイ、この白い竜というのはおそらくフルフルという飛竜です。目撃談から推測するに、大きさも小型のようですし。ガイなら楽勝でしょう?」
「しかしだな・・・」
「ルークと出会った時も主と遭遇したようですし、この3日間で2人の息もだいぶ合ってきています。ここらで大物と対峙した時の動きを学んでおくのも悪くはないと思いますよ?」
「ガイ!俺がんばるから!!」
 ルークにまで言われてしまっては、ガイも断り切れず。結局そのまま依頼を受けることになってしまったわけで。
「ハァ・・・。分かりましたよ。ただ、小型とはいえ飛竜であることには変わりない。十分注意しろよ、ルーク」
「おう!」
「ああ、忘れるところでした」
 不意にジェイドが出した声に、ルークとガイはジェイドの方を振り向いた。ジェイドはドアの横に立てかけてあった新品のピッケルを取りに行き、それをルークに手渡した。
「あなたは切断が得意の様ですから、武器はこちらの方がいいかと思いまして。今まであなたが使っていたにゃんにゃん棒はどちらかというと打撃向きの武器ですからね」
「そうだったのか?全然知らずに使ってた(汗)」
「ギルドからの支給品ではありますが、武器の強度、使い勝手は私のお墨付きです。今日からはこれを使いなさい」
「骨のピッケルか。ジェイド、ありがとう!」
 ルークは骨ピックを受け取ると、嬉しそうにそれを胸の前で握りしめた。
「では、ルークの準備も出来ましたし、早速雪山に向かいますか」
「了解!」
「おう!」
「陛下はしっかり仕事をしておいてくださいね♪」
「分かってるよ。お前らも気をつけて行ってこいよ?お土産期待してるからな~!」
 ピオニーのそんな明るい声を背に、ルーク達一行は早速雪山に向かった。
 一方その頃雪山では・・・。
「屑ーっ!どこにいやがるー!返事をしろ屑がーっ!!」
 アッシュが屑を連発しながらルークを探していることを、ルーク達はまだ知らなかった。
 
 



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